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からくり童子 第9話 青いライブジェム 第62回 森の水

通常更新版になります。
からくり童子 風のジード
第9話 青いライブジェム
第62回 森の水


モザーク村の飲料水の確保は、森にある。
巨木から湧き出る水を大量に汲み上げ、巨大なタンクに収容する。それを住民は、飲用しているのである。
モザークは、村といえども400人ほどの大所帯。
既に町といっても良いぐらいの大きさである。常に水の補給を必要としていた。
その為、森に生息するモンスターとの戦闘は、避けられない。
モザークが軍事に特化しているのは、この為である。
モザーク自警団が森に入るときには、20人程度のチームを組み、それを5チーム作る。
左右にそれぞれガード隊一隊、中央に前方先発隊・中央本隊・後方守備隊と三隊を配置し、左・中央・右と距離を離れて、それぞれで突入する。
万が一モンスターに襲われた場合、中央本隊は生き残る可能性があるからである。
中央本隊には、大型トラック程のタンク車両を2台、それぞれ大牛10頭に牽引させている。
中央本隊のリーダーはパースである。
先発隊は、そのタンク車両が通れる程の道を確保して進む事と、モンスターの襲撃の際には、これを左右に分散させるのが目的。グレープとコンバ(ノーグの甥っ子)は、この隊にいた。
左右ガード隊はモンスターの襲撃を打ち払い、中央本隊を守ることが使命。
後方守備隊は、後方からの襲撃を阻止するのが目的である。
その日も森に入るなり、モンスターは襲ってきた。
メガネザルの体質変化体で、カタナが人間の子と見間違えたグラスモンキー、グラモンである。
森の中央に入るほど、大きく凶暴なモンスターがいる。
したがって、森の入口付近となると弱いモンスターである。が、その分数が多く、モザーク自警団にしてみれば、姑息な手段で襲ってくる厄介な奴らである。
グラモンは高い木の枝にいた。ウニのようなトゲトゲした実を投げつけてくる。
これは、厄介な戦法である。手出ししにくい上に、当たれば、かなり痛い。
弱いモンスターといえども、その戦い方によっては脅威となる。
タンクを牽引している大牛を守るかのように、自警団はガードした。
大牛に当たって暴れでもしたら、手に負えないからである。
自警団の中には、木に登って討ち果たそうとする者もいるが、そこはグラモン、元が猿だけに木々の枝々を飛び渡るのは分けない。
自警団は弓を構え、次々と放つ。打ち落とされるグラモンもいるが、大半は移動しながら矢を避ける。
地上にいないモンスターとの戦いは、苦戦を強いられる。
グラモンの投げたトゲトゲの実が、タンクを牽引している大牛に当たった。
グァモー。叫びを上げて、暴れだす大牛。それは、他の大牛へと連鎖して行き、とてつもない雄たけびに代わっていった。
屈強の自警団とは言え、10頭もの大牛を押さえつけることは容易な事ではなかった。
落ち着かせる為に、香を焚いたり餌を散らしたりしても、なかなか大人しくならない。
しかし、その間グラモンの攻撃はなくなっていた。木々の上からも、姿を消している。
大牛の雄たけびに驚き、一目散に逃げていたのである。
モンスターにしてみれば、自分達のテリトリーを守るためである。
したがって人間は、自分達のテリトリーに侵入してくる敵、もしくは森を破壊する者でしかない。
実際モザーク自警団は、森の水を確保するために、森の木々を切り倒しながら進む。
巨大なタンクを通すだけの道幅を必要としていたからである。
先発隊は、大きい池を目指しながら進んでいく。大きい池は、常に同じ所にあるとは限らない。
池は日数経過により、大きくもなり小さくもなる。巨木から湧き出る水の量は一定ではないからである。
その為、森の地形は変化しており、少人数で森に入ると、たちまちの内に迷ってしまう。
さらに、グラモンなどの小動物に撹乱されて、いつしかモンスターの餌食になってしまう。
カタナとジョグが森を抜けられたのは、単に運が良かったという事である。
森を奥へ奥へと進んでいくと、目の前から羽を広げて無数の魚が飛んでくる。
それは集団であり、黒い大きな塊が飛んでくるかのようにも思えた。
空中を飛ぶ魚。そう、トビマグロである。
もちろん、マグロの体質変化体であり、ひれがトンボの羽のように大きく左右に広がっていた。
ただ、それだけだ。
トビマグロは自ら人間に害をなす行為はしない。
が、高速で森を駆け抜けるこの集団に激突されようもんなら、一発でこの世とお別れになってしまう。
害を成さないが、危険なモンスターである。
このトビマグロは、食すると大変美味であると言う。
捕獲しようとトビマグロに斬りかかった者がいる。
先頭の一匹を切り落として捕獲したのだが、後続のトビマグロが次々にその者めがけて突撃してきた。
一匹を傷つけられたら、集団で襲い掛かって来るのである。なかなかに捕獲出来ないのである。
しかし、このトビマグロには致命的な弱点がある。
止まると、死ぬのである。
飛びながら酸素の補給を行っているので、止まったら息が出来なくなる為である。
モザーク自警団は、トビマグロの群れを避けた。余計な戦闘は避けるためだ。
中央先発隊は、道を作れそうなところを選びつつも、巨木を探して上を見上げている者もいれば、ヒカリゴケがいっそう輝いている箇所を探す者もいた。
森のヒカリゴケは薄い緑色で光っているのだが、遠くに青白く光っている箇所を見つけた。
森の中で青白く光っている所は、大概にして大きい池である。
しかも青白いとは言え、いつも目にしている光より青みが強い。これはかなり期待出来る。
グレープをはじめとした先発隊は、その強い光のほうへと進んだ。
目の前に広がるのは、青みがかった大きな池であった。
巨大なタンク2台分に収納するに、充分すぎるほどの量である。
その池の中央に、浮き出たかのように球状に光る部分があった。
その球状の光が、池全体を青く輝かせているような気がする。
こういう事は、今までに無いことである。不思議に思ったグレープは、甲冑を脱ぎ捨て池の中央へと泳いでいく。
その水面の下には、青い色をした小さな石が浮いていた。
その石を包み込むようにボール状になって光が輝き、あたりりを青く照らしている。
グレープはその石を手にとり、太陽に透かしてみた。
不思議な縁を感じる、優しい光であった。

(青白い光、フィズが花の種を生み出すときに出る光だのう。とすると、種のライブジェムかもしれん。
まぁ、空筒砲には転用できそうも無いが、発芽の解明には役立ちそうだのう)

「今、それを持っとるのか」

「あぁいや、自宅に置いてある」

「なに、こういう時は話の流れからして、持っとるもんだがな。女の子なら、ネックレスにして首からぶら下げているとか」

「女の子らしくなくて、悪かったな」

パースは、ゼファーとグレープの口論になりそうな気がして、口を挟む。

「その石が何か武器になるのか」

「わからん、この鉱石は白く光っとるだろう。青く光る石は、わしも初めてだからな。何が出来るかはわからん」

ゼファーは考え込んでしまった。しかし、考え込んでも仕方が無い。早く、青白く光石のかけらを調べてみたかった。

「よし、女の子さん。青い石を持ってきてくれ」

「え~っ、往復で4日は掛かるのよ」

ゼファーは、ふんぞり返って答える。

「大丈夫だ。一時で戻ってこれる。わしが作った、機巧艇ホーバー(ホバークラフト)を使えばな」

「ホーバーって?」

「説明すんのは面倒い。カタナ、明日お前も一緒に行け」

「おっ、俺もか?」

「あぁ、機巧装置に触れる良い機会じゃ」


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からくり童子 第9話 青いライブジェム 第61回 青い石

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からくり童子 風のジード
第9話 青いライブジェム
第61回 青い石


フィズリーが秘密の洞窟から帰ってきた。そこには、見知らぬ少年と白い柴犬がいた。

「だれ?」

「こんにちは、お嬢さん。俺は白柴のヘンドリー。ぼけーっと突っ立ってるのが、カタナだ」

カタナより先に、ジョグがフィズリーに声をかけた。

「にわとりさんが、しゃべったぁー!」

フィズリーは面白そうにジョグの鶏冠をなでる。

「にわとりさん、にわとりさん」

これには、カタナが吹き出した。

「ジョグお前、鶏だったのかぁ」

「ちが~う!俺は、犬族の戦士だぞ」

「鶏なのにぃ。俺は犬族の戦士だぞ~」

ジョグの話し方を真似するかのようにカタナは言い、腹を抱えて笑っている。
「ギャー」  ジョグはカタナの尻を噛んだ。悲鳴を上げ、お尻を手で支えるようようにして飛び跳ねるカタナ。

「お嬢さん、俺は鶏じゃない。犬族の戦士、白柴のヘンドリーだ」

「変なトリ?」

カタナはツボにはまってしまったのか、腹を押さえ転げ回って笑っている。

カプッ 「痛てー!」

犬族の戦士、白柴のヘンドリーことジョグは、腹いせにカタナのお尻を再度噛んだ。

「何で、俺ー」

(何をやっとるんじゃ、こいつらは)という思いを胸に秘め、ゼファーはフィズリーに問う。

「フィズリー、ジードの様子はどうじゃった」

「う~ん、まだ目を覚まさないの」

「そうか、ジードに何か起こってるんじゃろうか。それとも、もう目を覚まさないじゃろか」

「そんなこと無いよ。ジードはねぇ、今、夢を見ているの」

「夢?わかるのか」 「わかんないっ。でも、ちゃんと起きるよ」

「そう感じるのか」 「うん」

(やっぱり、からくり童子間で感じるものがあるのかも)と、思うゼファーである。
白柴のヘンドリー事ジョグは、首をかしげながらゼファーに近寄ってきた。

「ジード。ゼファーさんのお坊ちゃんですか?」 「えっ、まぁ、そういう事じゃ」

「ご病気か何かで」 「うん、まあな。ここん所、寝たきりじゃ」

苦しい言い訳をするゼファーである。

「じゃあ、後でお見舞いでもしましょう」

ゼファーに対して、なぜか丁寧である白柴のヘンドリー。丁寧ではあるが、多少ぶっきら棒にも思える。
そこへノーグとハンマが、モザークの3戦士を連れて、やって来た。

「ゼファー、いるか」 「ああ、こっちだ」

5人は、声の聞こえた方へと進む。

「カタナァ、悪さしてるんじゃないだろうねぇ」

入って来るなりカタナを見つけて、即座に言い放つ女戦士グレープ。

「ジョグ、ちゃんと監視していたか」

「あぁ、今ン所大丈夫だ」 「そうか」

「ちなみに、俺はヘンドリーって名前だぜ」 「なっ、しゃべれるのか」

目を白黒むき出して、驚きを隠せないグレープであったが、そこは百戦錬磨の兵。
ノーグやカタナほどの驚きは見せなかった。

「そう、変な鳥さん。変な鳥さんって言うんだよ」

と、ジョグの鶏冠をなでながら、グレープに話しかけるフィズリー。

「変なトリ?」 「ヘンドリーです。お嬢さん」

「まあまあ、良いじゃないか。トリさん」 「トリさん、トリさん」

「良いわけないでしょう。犬族の戦士、白柴のヘンドリーって言う立派な名前があるんですから」

「トリさん、トリさん」 「お嬢ちゃん……あのね」

「まぁ、トリさんは置いといて」 「………」

「ゼファー、紹介するよ。こちらが今回のモザーク自警団のリーダーのパース、娘さんのグレープそして、俺の甥っ子のパース。3人は、からくりの技術に興味があるそうだ」

「そんで、こっちがゼファー。女の子がフィズリーだ 」

「フーン、イメージ通りの人だ。白い髪に白い髭、白衣を着込んだマッドサイエンティストって感じかな」

グレープは心の内を隠さず、堂々と言い切った。以前、ノーグがゼファーのことを評した台詞と同じである。

(わし、この小娘は嫌い)と、内心思うゼファーである。

「ゼファー、からくり人形についてなんだが、あれはモザークには無い代物だからな、興味がある」

「あれは1000年前の装置じゃよ。人間のサポートをするために作られた代物じゃ」

「1000年前か……とてつもない文明だったんだな」

「あぁ、崩壊したがな」

「そんな崩壊した世界のからくりを掘り起こして、大丈夫なのか」

「からくりがどうという事より、それを使う人間のほうに問題があったんじゃろうて」

「からくりは人間が操作せんと、動かんからな」

「からくり人形は、自分の意志で動いているように見えたが」

「あれは基本動作が組み込まれておる。人間の指示で、その動作を選択しているだけじゃ」

「じゃあ、間違った動作を組み込まれていたら、どうなる」

「一応、決まりみたいな物があってな、人間に害をなす行為は組み込まれておらんはずじゃが、そこまで詳しくは、わしも知らん」

「もし、人間に害をなす様な行為が組み込まれておれば、ただ事ではすまんじゃろうな」

「とは言え、イザークの村は発展途上でな、からくり人形をも使わなければ生活が困難になるのじゃ。まだ住人の数も少ないんでな。頼らずにすめば、それはそれで良い事じゃ」

「そうか、モザークは住人の数が多いい、今のやり方で充分潤ってる訳だし、必要ないかも知れんな」

「私は欲しいな。なんか、可愛いじゃない」

「………かわいい?」

パースとゼファーは目を点にしていた。
ゼファーにしてみれば、からくり人形を可愛いと表現されたのは初めてであった。
(ちょっとは、この小娘を好きになっても良いかも)と思うゼファーである。

「ゼファー、さっきはどうやってモンスターを投げ飛ばしたんだ」

鍛冶屋のハンマが声を出した。

「あぁ、あれか。あれはな、これじゃよ」

5人の目の前で、空筒砲を指差しながら答えた。

「これは?」 「空筒砲と言って、圧縮した空気を打ち出す機巧装置じゃよ」

「武器なのか」 「ああ、そうじゃ。わしが作った」

「どうしてこんな物があるなら、前もって教えてくれなかった」

「すまん、忘れてた」 「忘れてたぁー」

「もう30年も前の前に作った装置じゃ。そりゃぁ忘れるわい」

「他にも武器になりそうな、機巧装置はあるのか」 「いや、ここにあるだけじゃ」

「新しく作れるかい。あれは、かなりに戦力になるんだが」

「無理じゃな、こういう石がないと」

ゼファーは5人にライブジェムを見せてやった。

「なんだ、石が光ってるじゃないか」 「そうだ、こういう光る鉱石が必要なんじゃ」

「ちょっと見せて」

グレープがゼファーからライブジェムを受け取る。 窓の外から入る光にかざしながら、鉱石を見る。

「こういうの、私、持ってるわよ。色が違うけどね」

「なんじゃと、持っとるのか」

「あっ、いや、違うかもしれないけど。色違うし」

「どんな色じゃ」

「うすい青よ。青白く光ってるの」

「どこで、手に入れた」

「えっ、えーとね。森よ」





からくり童子 第8話 少年の夢 第60回 カタナの夢

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からくり童子 風のジード
第8話 少年の夢
第60回 カタナの夢


ゼファーの風車小屋では、今までの不行状を白柴のヘンドリーことジョグに説教されて、うな垂れている少年カタナがいた。

「そう言やぁ、カタナ。お前さん、わしに会うために旅をして来たと言っとったなぁ」

新しい空筒砲の設計図面をひきながら、カタナに問いかけた。
これはジョグに説教されているカタナに、助け舟を出す事にも繋がった。

「あっ、そうだった、忘れてた。俺な、夢を叶える為に来たんだ」

「夢?」

「そうさ、空飛ぶからくり箱を造りたいんだ」

「空飛ぶからくり箱………飛空艇の事か」

「飛空艇?」

「空飛ぶ乗り物じゃ」

「そうか、飛空艇か。その飛空艇で、世界を飛び回りたいんだ」

「フッ」

「今、フッて鼻で笑ったか。俺を馬鹿だと思ったろう」

「いや、そうじゃない。夢を語る、誰もがそうじゃ。だがな、その若さで逸早く行動に移した事は、たいしたもんじゃと思うとる。大抵は口にするだけで、行動する事も無く、人生を終える者が多いからな。それに、からくり屋の倅はやっぱり、からくり屋だと思ってな」

「……行動に移したって言っても、どうして良いか分からず、それを教えてもらおうと思って来ただけだよ」

「それで、ラグーンから1,000㎞も離れたイザークに旅するか?ふつう」

「まぁ、そう言われりゃそうだけど」

「まぁ、天才からくり技師たるこのわしに、教えを乞おうとはナイスチョイスじゃが、ラグーンにもからくり技師は、お前さんの父親の他にも数人いるだろう。何故わしの所にやって来た?」

「ラグーンは、地下に保管されてたからくり人形を、引き上げて使ってるだけだし、からくり技師って言ったって、ただの修理屋に過ぎないのさ。その点ゼファーはからくりを発掘して、壊れてるところを直して使えるようにしてるんだろう」

「それを修理といわんか?」

「小さい時に見たんだ。ラグーンの町に行商人のショーバが着た時、“ホーバー”を」

「砂の上を、ものすごいスピードで移動してた。鶏よりも早かったよ」

「あぁ、あれか」

「ホーバーはゼファーが作ったって言ってたんだ。そうなんだろう」

「まぁ、それはそうじゃが」

「なっ、あんなのラグーンの町に作れる奴なんて、いないよ」

「お前さんの父親なら作れるだろう」

「駄目さ、親父も只の修理屋さ」

「…………。ホーバーはな、上面から空気を吸い込んで圧縮し、下面から少しづつ吹き出させてやる事で、浮いておる。その装置を設計したのは、カタナ、お前さんの父親じゃぞ」

「どうして親父が、さっきは名前を知ってるぐらいにしか言わなかったのに」

「まぁ、色々とな。ところで、自分の父親の夢を知っているか?」

「いや、聞いたことない」

「どうせ、父親とろくに話しもしておらんのじゃろう」

「あぁ、そう言われれば。いつも怒ってばっかいるからさ」

「当たり前だろう。親というのはな、子供を一人前になって欲しいという願いで、怒ることもある」

「バルカン=ギブソンの夢はな、人工的に水を作ることじゃ」

「みず?水なんて、そこら中にあるだろう」

「今はな。だが、地下から水を汲み上げるのも、将来的には不可能になるじゃろう」

「この惑星は、1,000年前の異常現象で大気さえ変動させてしまった。その結果、あまり雨も降らん状態になっておる。このままでは、いずれ水は枯渇すると考えたバルカンは、人工的に水を作り、世界中に届けることを考えた。それがあいつの夢じゃ」

「そんな大それた事、本当に考えているのかぁ」

「現に見てみろ、自分の水筒を」

「そんな水筒1つで、ようもここまで辿り着けたもんじゃ」

「この水筒に何かあるのか」

「気付かんのか。その大きさにしては、大分重いと思わんか?」

「厚みのある良い合金でも使ってるからじゃないか」

「その水筒は、外気温と比べると大分冷たいと思わなんだか?」

「合金を二重張りにして、保温性を高めてるんじゃないか」

「水筒の大きさに対し、入る水の量が少なすぎると思わんか?」

「……、それは、確かに思う」

「入れた量に対して、飲む量は多くなかったか?」

「おぉう、確かに」

「おそらく、水筒の底に機巧装置が組み込まれているのであろう」

「水を圧縮してるのか?」

「いや、水は圧縮できんよ」

「つまりじゃな、バルカンの夢が現実の物となったと言う事だ」

「水を作り出してるという事か」

「そうじゃ、それも水筒の底に仕込める程に小型化し、しかもかなりの衝撃に耐えられる構造になっとるはずじゃ」

「親父からは、何も聞いてなかったぜ」

「話が元に戻りそうだな」

「でも、それって本当かな。全然気付かなかったけど」

「気付かぬほどに少しづつ、水が作り出されるようにしてあるのではないか」

「何でそんな事する必要があるんだ。水が作れるなら、一気に出たほうが良いだろう」

「水筒に仕込むほどの物だ、たいした量でもあるまい。少しづつ作り出す事によって、長期間使えるようにしたんじゃろう。もしかすると、お前さんがわしの所に来る事が、わかっておったかも知れんぞ」

「本当にそんな装置が仕込まれているのか、解体して調べてみる」

「よせ、下手な解体をすれば、爆発する可能性もあるぞ」

「バクハツ?そんなもん、子供に持たせるわけないだろう」

「普通に使う分には問題なくても、解体は別じゃ。わしが思うような仕組みであれば、その可能性もあるという事じゃ」

「親父って、すごいんだな。ゼファーより天才かも」

「何を言う、バルカンは2番目じゃ。天才からくり技師のこのゼファーが、1番じゃ」

「その天才さんに質問。飛空艇は作れるか」

「わからん、1000年前と同じものと言われれば無理じゃが、空を飛ぶ理屈なら多少はあるつもりじゃ」

「じゃぁ、作ってくれ」

「駄目じゃ、自分の夢は自分で達成してこそ、意義がある。教えてやるから、自分で作るんじゃ」

「その代わり、わしの手伝いをしながらじゃな」

「よし、わかった。何をやれば良い」

「まあ待て、仕事は明日からじゃ。今日は、ゆっくり休んどけ」




からくり童子 第8話 少年の夢 第59回 ジードの記憶

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第8話 少年の夢
第59回 ジードの記憶


今、フィズリーは秘密の洞窟にて、ジードの回復を待っていた。
というより、洞窟内の土を自由に使って良いと言うゼファーとの約束により、フィズリーは洞窟内に種蒔きをしていた。
あの青白い光の中で、花の種を生み出す不思議な現象は、今も起きていたのである。
ジードが気を失ってから今日まで、フィズリーにとってはいつもと変わらぬ日々が過ぎていた。
洞窟内にいたフィズリーには、今日モンスターの襲撃があった事さえ知らない。
ジードが気を失ってから、実に5日が経過している。
今だにカプセルの中には、ナノマシンが充満しており、ジードの姿を確認することが出来ない。
ジードは今、夢を見ていた。
いや、夢と言っていいのか定かではないが。
そこは、黒い霧が漂う空間であった。
ジードの視点の先には、2人の少年がいた。
1人は白く輝き、もう1人は黒く輝いていた。
その2人の少年は、色を除けば同じ顔、同じ姿をしている。

「お前は何を望む」

白く輝く少年が、黒く輝く少年に問う。

「私は、この世の破壊を望む。お前は何を望む」

今度は黒く輝く少年が、白く輝く少年に問う。

「私は、この世の創造を望む」

「笑止、この世は既に既に存在している。今さら創造の必要なし」

「否、創造は日々の営みの中にこそ、必要」

2人の少年の問答は暫く続いたが、黒く輝く少年の行動により、戦いへと移っていった。
黒く輝く少年は空間に漂う黒い霧を一点に凝縮し、白く輝く少年にぶつける。
白く輝く少年は風を生み出し、それをシールド状に変化させ、払いのける。
黒く輝く少年は黒い霧を発生すると、それを凝縮して3個の玉を形成した。
そして、白く輝く少年に向けて解き放つ。
1つ目で白く輝く少年のシールドをはじき、2個の玉が白く輝く少年の体に激突する瞬間、かろうじて避けた。
黒く輝く少年は、続けて極大の黒い玉を形成。
それを、白く輝く少年にぶつける。
大きすぎて避けきらない、白く輝く少年。
黒い玉は白く輝く少年を呑み込み、侵食を開始する。
白く輝く少年は、自らの体を包み込むようにして風を発生させるも、既に侵食した黒い霧に阻まれ、風は吹き飛ばされてしまう。
黒く輝く少年は、即座に弾丸状の玉を無数に発生させ、打ち出した。
もはや、風のシールドでは防げないと悟った白く輝く少年は、上空に身をかわそうとするが、黒い霧に浸食されている体では思うように動けず、下半身に無数の黒い弾丸は直撃し、吹き飛んでしまった。
下半身を失くし、上半身の大部分が破壊された白く輝く少年。
その下腹部には機械構造体が露出し、オイルとも思えぬ、血とも思えぬ赤い液体が噴出していた。

「もう、その姿では何も出来まい。これから私が行う様を見ているが良い。破壊こそが創造の糧だ」

黒く輝く少年は、そう言い放つと忽然と消えた。
白く輝く少年は下半身を失いながらも、右腕のみを使って自分の体を引きずり、ジードに向かってくる。
白く輝く少年は右手を伸ばすと、白い光がジードの目の前に広がった。
そしてひとつの夢が終わり、また、ひとつの夢が始まった。
そこには、8人の子供達がいた。
その子供達は体全体が光り輝き、黒い渦を巻いた霧の中で空中をグルグルと回っていた。
意識はなく、ぐったりとしている。
いや、1人だけ意識を持った者がいる。
青く輝く女の子である。

「あなたは、何者です」

その女の子は、誰ともなく黒い霧を見つめていた。

「私は………ジード。破壊をもたらす者だ」

「ジードじゃない。あなたはジードの体を奪った者。あなたは誰です」

「漆黒のライブジェム、風のジードだ」

黒い渦を巻いた霧は、その速度を速めて更に回りだした。

「我が思念に染まれ」

そしてひとつの夢が終わり、また、ひとつの夢が始まった。
目の前には、白い髪に白い髭、白い衣服を身にまとった科学者らしき人物がいた。
ジードの顔を覗き込みながら、語りかけてくる。
その顔や頭には相当数の怪我をしているのか、出血していた。

「お前が最後の希望だ」

「頼む、私の過ちを正して欲しい」

そしてひとつの夢が終わり、また、ひとつの夢が始まった。
目の前には、透明の物体があった。
ソフトボールくらいの大きさであり、その物体の向こうに男の顔があり、ワイドになって間抜けに見えた。
その物体の中心には、宇宙のような無数の星があり、その星の輝きは虹色の光と共に物体の周囲にまで広がっていた。

「これは、ライブジェムのコアじゃと、わしは考えておる。これを、お前に取り付けるぞ」

取り付けられた瞬間、目の感覚しか持たなかったジードは、全身に感覚を感じるようになった。
そしてひとつの夢が終わり、また、ひとつの夢が始まった。
そこは、何も見えなかった。
が、声だけは聞こえてくる。

「直ぐに、見えるようにしてやるからな」

パチッと火花が飛ぶような音がして、辺りが少しづつ明るくなっていく。
はっきりと見えるようになった時、

「わしが、分かるか」

と、白衣の男が目の前に立っていた。
ジードは、目をキョロキョロさせた。
そして、目線を下に向けた時、機械が露出した自分の体を見た。

「これから、人工皮膚を着けてやるからな」

「お前を、任下と何ら変わらぬ姿にしてやるぞ」

そしてひとつの夢が終わり、また、ひとつの夢が始まった。
目の前には、8つのカプセルがあった。
そのカプセルの中には、それぞれに8人の子供達がいた。
白衣の男が、カプセルのふたを開ける。
子供達は目を覚まして起きた。
白衣の男は驚き、子供達の髪を触ったり、目を覗き見したりしている。

「何と、髪と目の色が変わっとる」

その声を聞いた子供達は、自分の髪をかき上げたり、目の前に持ってきて見たり、お互いの目の色を確認したりしていた。

「何と、動きまでが滑らかではないか。これが、ライブジェムの力なのか」

子供達の中で、緑色の髪をし茶色の目をした女の子が、白衣の男に向かって言った。

「何を驚いているの、ドクターゼファー」

そして、夢が終わった。
いや、夢と言っていいのか定かではないが。
カプセルのナノマシンはジードの記憶を回復しているのか、それとも只の夢なのか。

「今日も目を覚まさないね」

フィズリーはそう言うと、

「また来るね」

と自宅に戻って行った。




からくり童子 第8話 少年の夢 第58回 イザークとモザーク

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第8話 少年の夢
第58回 イザークとモザーク


イザークの村にやって来たモザーク自警団は、タニヤの食堂に村人を集め、自己紹介を終えていた。
イザーク自警団の発足後、準備も整わない内に巨大なモンスターが襲ってきたのだ。
みんな真剣である。
以前の村人会議と違い、静まり返ってモザーク自警団の言葉を、一語も逃さぬ覚悟で聞いていた。
既にモンスターが襲ってきた以上、ゆっくりと策を論じている場合ではない。
体格の良い若者10人が、戦士としての特訓を受ける。
鍛冶屋のハンマと服屋のジャンパは、指導を受けながら武具の製作。
材料不足を見越して、鉄鉱石も運び込まれていた。
女達の中から何人かと、少数の男は医療技術を身に付ける事とした。
イザークの村には医者がおらず、ゼファーがある程度面倒見ていたのだが、やはりこれから戦いが多くなると予想され、専門医が必要とされた。
女性を中心に組織されたのだが、他地区への交流なども考え、男達にも医療の知識を持つ者を必要とした。
旅先で負傷した際の手当ての為である。
この男達には、軽く戦闘技術も身に着けてもらう事になる。
自分の身は自分で守る、という事だ。
また、モンスターや盗賊に対抗するための街づくりを必要とした。
これは、大工のトンカとモザークの村から来た石工のメイソンが中心となり、村人全員で行う事とした。
これはまず、石工のメイソンが村の現状を調査して、図案を作成する。
実際、人が住んでる中で行われる作業なので、イザークの村人の承認を受ける事にした。
大幅な計画を立案し、人員配分を済ませた後、イザークの村人は振り分けられた各チームごとに今後の計画を立てる事にした。

「あんたが鍛冶屋のハンマかい?」

モザーク自警団の中でも体格が良い、きりっとした顔付きの男が話しかけてきた。

「俺を覚えちゃいねえかなぁ」

30歳くらいであろうか、ちょっと渋みが入ったクールな男である。
戦士にも思えるような、引き締まった筋肉をしている。
ハンマはその男の顔をじっと見ていた。
ハンマがモザークの村を離れてから30年。
その間、モザークの村人との交流はなかった。
覚えているどころか、知らないはずである。
それでも、なぜか親しみの沸く顔をしていた。

「覚えちゃいねえか。あんときゃまだ、赤ん坊だったらしいからよ」

「赤ん坊……あっー!お前、政か!カヨさんちの政だろう!」

「そうよ!その政よ!いやぁ、やっとこさ思い出してくれたな。うれしいぜ、ぎりぎりって感じだったけどよ」

「当たり前だろう、会ったのは政が赤ん坊の時だぜ。しかし、あのちびっ子がデカくなったもんだぜ」

「俺だって人の子よ、30年もたちゃあ、こうもなるさ」

鍛冶屋のハンマと政は従兄弟である。
ハンマの父親には歳の離れた妹のカヨがいて、その息子が政である。
今ではモザーク村きっての鍛冶屋であり、その仕事振りから、仕事人鍛冶屋の政と呼ばれ親しまれていた。
カタナの黒光りのバスターソードなる牛刀を鍛えたのも、ジョグのカギ爪の仕込みを施したのも、政である。

「そうか、あの赤ん坊に教えを請うのか」

「ハハハ、性がねえよ。ハンマは今まで、日常の道具を作ってんだろう。そっちの方に関しちゃあ俺はど素人だが、武器に関しちゃ俺に分があるからよ」

「そうだなあ、この地に来てから武器のことなんか、考えた事もなかったからな」

「そういうことだ。まっ、直ぐに覚えるさ、基本は同じなんだからな。それに、血の繋がりがあるしよ」

「血の繋がりは、関係ないだろう」

「あるさ、全くの他人と身内では教えんのに熱の入り方が違う。身内だと情熱の炎を燃やして教えられるからな。鍛冶屋だけに」

「………」

「あれ、つまんなかったかい」

見た目は格好良い姿であるが、ジョークのセンスはないらしい。

「へぇー、二人は身内だったんだ」

と、モザーク自警団の女戦士グレープが話しかけてきた。

「あぁ、そうらしい。30年ぶりだからな、実感はないが」

鍛冶屋のハンマが言う。政はグレープに向かい、

「だから言ったろう。モザークとイザークは、身内みたいなもんだってな、ノーグやトンカだって、モザークの出だぜ。グレープだって、このイザークの村に身内が居るんだろう」

「あぁ、ルクアートとツールフとアプルとパインね」

この女戦士グレープと、果物屋のツールフの旦那であるルクアートとは、叔父と姪の関係であった。
グレープとアプルは従姉妹の関係になる。

「アプルっていやぁ、ちび三人組の子か。モンスターと戦うんだって、張り切ってたな」

「困ったもんだ。まだ、ちびのくせに。そんな事より、ハンマに聞きたいことがある。このイザークの村は荒野にありながら、モザークの村と違い、過し易い気温だし、それに植物も育ちが良い。なぜだ」

「あぁー、そんな事か。山の上に森があるだろう。森から湧き出た水が滝となって、貯水池に落ちる。するとな、水が熱を奪って周囲を涼しくさせるらしい。イザークの地形にも利点があって、モンスターや盗賊の侵入も阻んだ上に、村の涼しい気温を外に逃さないようになってるらしい。これはな、ゼファーの発案なんだぜ」

「ゼファー。カタナが会いたがっていた、あの物騒な爺さんか」

「おいおい、爺さんって言ったら怒るぜ。まだ、若いんだからよ」

「そうか、すまん」

「それで、植物は」

「それに関しちゃ、俺が言おう」

近くで、モザーク自警団のリーダー格の男と話しをしていたノーグが、声を掛けて来た。

「植物の育ちが良いのは、土のおかげなんだ。良質の土を散布して、少しづつ土へと変えていったんだよ。今では結構な量に増えてるからな。より多くの植物を育てられるようになったんだ。これも、ゼファーが開発したもんだがな。まっ、詳しくはゼファーに聞きな」

今度はモザーク自警団のリーダー格の男、パースが声を掛けて来た。

「ゼファーが、このイザークの村の村長なのか」

「村長?そんなもんは決めてはいないが、あえて言うなら、そうかな。最年長者だし、それに村を大きく豊かにしていったのは、ゼファーのおかげだからな」

「そんなに凄い人なのか」

「あぁ、見た目や性格を除けばな。風車を考えたのも、からくり人形を作ったのもゼファーだからな」「ほう、からくり人形か。モザークにはないからな、一度見てみたいもんだ」

「どこの家にもあるから、見ると良い」

こんなところで話しをしてても性がないだろうと、ノーグは提案した。

「そんならいっそ、ゼファー家にいってみるか」

「ちょっと風変わりなおっさんだが、あんまり気にするなよ」






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