Category | 01 少年と白い犬

世界が崩壊した1000年前、放出されたエネルギー波が植物や動物に生態変化を起こした。
なぜ、エネルギー放出が起きたのか。
いったい、どんなエネルギーなのか。
現在の人類には知る由もない。
人類も生態変化を起こした者もいる。
現在も1000年前の姿で生きている者は、運よくエネルギー波を浴びることなく生き延びた者達の子孫である。
大気も大地も変化した。
文明も滅びたと言ってもよいだろう。
高度文明からいきなり原始時代に戻った感だ。
だが、人間には知恵がある。
知恵と経験を後世に伝えていきながら、人々は力強く生き抜いていた。
太陽が西の空にある。夕日が強くさしている。
この辺りは、地殻変動により地面が隆起していて、大きな岩は山のように高い。

岩は鉄分を含んでいて、夕日に照らされると大地が赤く見える。
岩の上から周りの景色をうかがうと、陰影がはっきりと映し出されて美しい。
少年とジョグは、サンドワームから必死で逃げ切り、今はこの大きな岩の上にいた。
この岩は大丈夫、モンスターではない。
台地が隆起してできた大岩である。
少年は、アルマジロンに噛まれた左腕を消毒していた。
モンスターの血が体内に入ると、体質変化を起こしてしまうからだ。
ジョグは、水で薄めた消毒液で口の中を洗浄している。
何度も噛んだので、口の中にアルマジロンの血がここびりついていた。
「今日の寝床は、ここだな」
すぐ目の前に森が広がっているが、夜の森に入るのは危険が大きい。
夜の森はモンスターが多い。
荒野が安全な訳ではないが、森の中よりは良い。
「ジョグ、白犬が赤犬になっちまったな」
アルマジロンとの戦いで、全身血を浴びていた。
もちろん、ヒーローの証だと思っている少年のスカーフも、真っ赤に染まっていた。
「まっ、今日のところは我慢しろ。明日、森に入ったら水浴びさせてやる」
森には豊富な水がある。
だが、森に立ち入る人間は少ない。
荒野より手ごわいモンスターがいる。
屈強なものでなければ、死んでしまう恐れがある。
少年は、荷物袋に投げ込んであったアルマジロンの肉を取り出し、焼き始めた。
大きな岩の上にいる。
香ばしい匂いは上に立ち昇っていくが、下に届くことはない。
モンスターを引き付ける要因はない。
少年は、続いて干し肉作りに取り掛かった。
荷物袋の中には、調味料も入っている。
肉に砂糖と塩をすり込むと、粗挽き黒胡椒をまぶす。
本来なら、完成まで2・3週間はかかる。
だが、この荒野では比較的短時間に仕上げることができる。
なんて、料理に関してはどうでも良い。
今、少年とジョグがいる大岩。
いつも大きい岩が存在しているわけではない。
砂地で夜を明かすときは、出来るだけ硬い砂地を選び、携帯食をほうばる。
にしても、多くの食料を持ち運ぶわけにはいかないので、飲まず食わずの時もある。
今日なんて、ご馳走だ。比較的多くの肉をゲット出来た。
少年とジョグは焼きあがった肉を、ガッツガツとほうばっていた。
腹は十分満たされた。
日が沈むと、気温も急激に落ちる。
少年はジョグを引き寄せ、抱くようにしてマントにくるみ、
「明日にはイザークの村につけるからな」
胸の高鳴りを押さえながら、眠りについた。
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今日の晩飯である。残りは今後のことを考え、干し肉にして保存しておきたい。
少年は、今までモンスターを倒すたびにそうしてきた。
「ジョグ、荷物袋を探して来い」
少年の荷物袋はアルマジロンとの戦いで、空筒砲の空気弾により遠くに飛ばされている。
どこに飛んだかわからない。ジョグの鼻に頼らざるを得ないのだ。
ジョグは匂いを探りつつ駆け出した。
少年の荷物袋の中には、色んなものが詰め込まれてあった。
干し肉作りに欠かせない塩や粗挽き黒コショウまで。
少年はアルマジロンの尻尾をぶつ切りにし、持ち歩けるだけの肉を用意した。
そうこうする内にジョグが荷物をくわえて戻ってきた。
だいぶ走り回ったのか、息が荒い。
そりゃあ。そうである。
激しい戦いの後に荷物を探して走り回ったのだから。
当然である。
ジョグはすぐさま荷物をはなすと、
「ワン ワン ワン」
少年に向かって吠えた。
「あー悪かったよ、お前じゃないと見つけられないだろ」
「ワン!! ワン!! ワン!!!!!!!!」
ジョグはさらに強く吠えた。
「なっ、どうした」
ジョグの吠え方は異常であった。
ジョグは周囲を警戒している。
うなり声が止まらない。
少年は周りを見渡した。
かすかに、生ごみのような匂いがする。
「くそっ!」
こちらに向かって四方から盛り上がった砂が近づいてくる 。
ものすごい速度だ。
近づくにつれ、匂いがきつくなってきた。
少年はこの状況を心得ている。何度も経験していた。
少年は血相を変え、
「ジョ、ジョグ、逃げるぞ!!」
ぶつ切りにした肉を、荷物袋に投げ込む。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
砂が宙に吹き上がる。
中から巨大な生物が姿を現した。
ミミズに大きい口をつけたような生物だ。
サンドワームである。
元々は小さなミミズだったが、体質変化により巨大化していた。
ミミズは動物界の食物連鎖の中では、最も低い位置にある。
つまり、小鳥や小動物に捕食されるのだ。
が、今では人間やモンスターさえ食らうほどの巨大さである。
今現在、サンドワームは動物界の食物連鎖の中では、最も高い位置にある。
ズバババババババーーーーーーンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!
4つの砂の盛り上がりから、サンドワームが次々顔を出した。
周囲はかなり臭い。
鼻を押さえて呼吸しても、口から匂いが入り込んでくる感じだ。
体全体から匂いを感じるほど臭いとも言えよう。
気絶しそうである。
サンドワームは体長20メートルの巨体。
20メートルの気性の荒いミミズを想像してほしい。
サンドワームは砂の中で生息していて目がない。
砂上の音や血の匂いを感じ、餌を捕食している。
サンドワームは、5匹でアルマジロンの肉片を取り合っていた。
「くそっ!血にひきつけられたかっ!!」
アルマジロンの血が染み込んだ砂ごと、食らっていくサンドワーム。
砂はサンドワームの腹に飲み込まれるのもあり、宙に舞い散るものあり、体に付着するものもあり。
5匹のサンドワームは自身の体をぶつけ合い、餌を奪い合う。
それは壮絶な戦いとも見て取れる。
だが、5匹の巨大なサンドワームの腹に、アルマジロン1匹では満たされない。
すると今度は、サンドワーム同士での食い合いになった。共食いである。
アルマジロンの血がサンドワームの体に付着していた為だ。
サンドワームには目がない、血の匂いに反応したにすぎない。
空筒砲でさえ巨大なサンドワームを倒すことは出来ない。
気絶させるのも難しい。それが五匹も姿を現している。
4つの空筒砲をフルに使っても、やはり充填が間に合わない。
とても太刀打ちできる状況ではない。
今は逃げるしかない。
「今のうちだ!!! 逃げるぞジョグ!!!!! 来-----い!!!!!」
少年とジョグは、その場から全速力で、鬼のように猛烈に走り去った。
少年とジョグが逃げ去った後、サンドワームの共食いは、さらにサンドワームを呼び寄せ、まるで地獄絵の状態であった。
サンドワームは雑食性で何でも口に入れてしまう。荒野の砂でさえも。
危険な存在ではあるが、その反面上質な糞を出す。
したがって、土壌改良には持って来いの存在だが、なにせ制御できない。
サンドワームの去った後の土壌は、森の育成に最適といわれる。
少年は、今までモンスターを倒すたびにそうしてきた。
「ジョグ、荷物袋を探して来い」
少年の荷物袋はアルマジロンとの戦いで、空筒砲の空気弾により遠くに飛ばされている。
どこに飛んだかわからない。ジョグの鼻に頼らざるを得ないのだ。
ジョグは匂いを探りつつ駆け出した。
少年の荷物袋の中には、色んなものが詰め込まれてあった。
干し肉作りに欠かせない塩や粗挽き黒コショウまで。
少年はアルマジロンの尻尾をぶつ切りにし、持ち歩けるだけの肉を用意した。
そうこうする内にジョグが荷物をくわえて戻ってきた。
だいぶ走り回ったのか、息が荒い。
そりゃあ。そうである。
激しい戦いの後に荷物を探して走り回ったのだから。
当然である。
ジョグはすぐさま荷物をはなすと、
「ワン ワン ワン」
少年に向かって吠えた。
「あー悪かったよ、お前じゃないと見つけられないだろ」
「ワン!! ワン!! ワン!!!!!!!!」
ジョグはさらに強く吠えた。
「なっ、どうした」
ジョグの吠え方は異常であった。
ジョグは周囲を警戒している。
うなり声が止まらない。
少年は周りを見渡した。
かすかに、生ごみのような匂いがする。
「くそっ!」
こちらに向かって四方から盛り上がった砂が近づいてくる 。
ものすごい速度だ。
近づくにつれ、匂いがきつくなってきた。
少年はこの状況を心得ている。何度も経験していた。
少年は血相を変え、
「ジョ、ジョグ、逃げるぞ!!」
ぶつ切りにした肉を、荷物袋に投げ込む。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
砂が宙に吹き上がる。
中から巨大な生物が姿を現した。
ミミズに大きい口をつけたような生物だ。
サンドワームである。
元々は小さなミミズだったが、体質変化により巨大化していた。
ミミズは動物界の食物連鎖の中では、最も低い位置にある。
つまり、小鳥や小動物に捕食されるのだ。
が、今では人間やモンスターさえ食らうほどの巨大さである。
今現在、サンドワームは動物界の食物連鎖の中では、最も高い位置にある。
ズバババババババーーーーーーンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!
4つの砂の盛り上がりから、サンドワームが次々顔を出した。
周囲はかなり臭い。
鼻を押さえて呼吸しても、口から匂いが入り込んでくる感じだ。
体全体から匂いを感じるほど臭いとも言えよう。
気絶しそうである。
サンドワームは体長20メートルの巨体。
20メートルの気性の荒いミミズを想像してほしい。
サンドワームは砂の中で生息していて目がない。
砂上の音や血の匂いを感じ、餌を捕食している。
サンドワームは、5匹でアルマジロンの肉片を取り合っていた。
「くそっ!血にひきつけられたかっ!!」
アルマジロンの血が染み込んだ砂ごと、食らっていくサンドワーム。
砂はサンドワームの腹に飲み込まれるのもあり、宙に舞い散るものあり、体に付着するものもあり。
5匹のサンドワームは自身の体をぶつけ合い、餌を奪い合う。
それは壮絶な戦いとも見て取れる。
だが、5匹の巨大なサンドワームの腹に、アルマジロン1匹では満たされない。
すると今度は、サンドワーム同士での食い合いになった。共食いである。
アルマジロンの血がサンドワームの体に付着していた為だ。
サンドワームには目がない、血の匂いに反応したにすぎない。
空筒砲でさえ巨大なサンドワームを倒すことは出来ない。
気絶させるのも難しい。それが五匹も姿を現している。
4つの空筒砲をフルに使っても、やはり充填が間に合わない。
とても太刀打ちできる状況ではない。
今は逃げるしかない。
「今のうちだ!!! 逃げるぞジョグ!!!!! 来-----い!!!!!」
少年とジョグは、その場から全速力で、鬼のように猛烈に走り去った。
少年とジョグが逃げ去った後、サンドワームの共食いは、さらにサンドワームを呼び寄せ、まるで地獄絵の状態であった。
サンドワームは雑食性で何でも口に入れてしまう。荒野の砂でさえも。
危険な存在ではあるが、その反面上質な糞を出す。
したがって、土壌改良には持って来いの存在だが、なにせ制御できない。
サンドワームの去った後の土壌は、森の育成に最適といわれる。
空気弾はアルマジロンの腹をえぐるように、ぐいぐいと食い込んでいく。
抵抗しようと踏ん張るアルマジロン。
しかし空気弾は弱まることはない。
この荒野の焼け付くような暑さが、空気弾を膨張させる要因ともなっている。
血に染まった砂が、空気弾の渦に巻き込まれていった。
今ではアルマジロンの背をも超える、巨大な球状になっている。
それはアルマジロンの体を徐々に飲み込んでいく。
そしてアルマジロンの体を完全に飲み込んだ空気弾は、大きな赤い球状になっていた。
その球状の周りは、アルマジロンの流した血で重くなり、周囲に飛び散る砂もある。
さらにその周りの砂は宙に舞い上がり、赤い玉となった空気弾を取り囲むように激しく空に吹き上がっていた。
「くそ、どうなってんだ?」
少年は、その様子をまだかまだかと待っている。
と言うのも、目の前の視界は砂により、さえぎられていて何も見えない。
空気弾の中ではアルマジロンが押し戻そうと懸命だ。
が、徐々に大きくなっていく空気弾に、もはや何の抵抗も出来ない。
アルマジロンの体力も限界に達した。
そしてひざをがくりと落とし、体の力が抜けた。
その時、アルマジロンの体はくの字に曲がり、宙に浮かぶ。
と思いきや、空高く吹き飛ばされてしまった。
体をぐるぐると回転させながら、悲鳴をあげる暇もない。
というより、すでにこの時、絶命していたのだ。
渦に巻き込まれたアルマジロンの体は、空高く舞い上がり、つぶされ、ねじ切れた。
そのあげく、四方に散ってちりぢりになった。
おびただしい血が、豪雨のように砂地に落ちる。
ズドドドドーン
それを追うように、四散したアルマジロンの体の部位が、それぞれ地面に落下した。
しかし、空中高くにはまだ尻尾だけがぐるぐると舞っていた。
赤い空気弾が空に舞い上がったため、少しの砂嵐を残しつつも、視界はだいぶ戻ってきた。
アルマジロンの四散した姿は、少年にもジョグにもはっきりと確認することができる。
「よっ…しゃあああああ~!!」
少年は腹のそこから、大きな大きな声を出す。力の限りの声で。
だが、空中高くに舞っていたアルマジロンの尻尾は、徐々に落下してきた。
それは次第に大きくなり、少年の頭上にせまっている。
「ワンワンワンワン!!」
それに気づいたジョグが、空に向かって激しく吠える。
「どぅおわわわわー」
ジョグが吠えた事で、自分の頭上を見上げた少年はあわてて逃げ惑う。
ズドーン
アルマジロンの尻尾が、少年の目の前をかすめて落ちた。
「ぎゅわわわー」
少年はのけぞって後ろに倒れた。
「あっっっぶねぇ~」
地上に落ちたアルマジロンの尻尾はピクピクと動いていた。が、やがてそれも止まった。
「最後まで抵抗する奴」
せっかくの勝利が台無しになるところだったが、ぎりぎり交わすことができた。
少年は立ち上がり、勝利のポーズをとる。
これは少年のポリーシーである。ヒーローの証だからであるようだ。
片足を尻尾に乗せ、柳刃包丁を高々と揚げ、首に巻いたヒーローの証の白いスカーフ、いやアルマジロンの血で真っ赤に染まってはいたが、風にあおられて揺れている。
「アルマジロン、討ち取ったりー」
堂々と、勝利宣言をした。
だが、アルマジロンに噛まれた左腕と尻尾の直撃を食らった左わき腹は、正直、痛々しい。
「ワン ワン ワン」
それに答えるかのように、ジョグが走りよってきた。
「よーし、本日の飯、ゲットだぜ!」
モンスターは焼くと食える。
と、言うより焼かないと食えない。
まずいわけでわない。
生で食するのはもちろん、煮て食べても体質変化を起こしてしまうからだ。
尻尾にも鎧上の皮膚がある。
比較的柔らかい部位に、斧でまきを割るがごとく、少年は柳刃包丁を振り下ろした。
……
アルマジロンは声さえ出せない程の激痛に襲われた。
大量の血が流れ出す。
砂地は真っ赤な血の海と化す。
それでも、まだ倒れない。
少年は更に突き刺そうと飛び上がった。
その時さらに凶暴化したアルマジロンは、体を反転させながら、少年めがけて尻尾を振りかざす。
尻尾は少年の横っ腹にあたり、突き飛ばされてしまった。
アルマジロンは生きるために必死である。
食料と思って咬み付いたにもかかわらず、その食料から手痛い反撃を食らっているのだから。
アルマジロンは尚も尻尾を振り回し、今度はジョグをねらった。
しかしジョグは、ことごとくそれをかわす。
かわしながらも、腹部を咬もうと果敢に挑むが、なかなか近づくことが出来ない。
それを見ていた少年は、立ち上がりながら、
「接近戦は無理か」
目を突かれ腹をえぐられて暴れるアルマジロン。近づくことが出来ない。
少年は腰にぶら下げた空筒砲(からづつほう)のスイッチを入れた。
空筒砲とは、前世界の遺物である。
空気を筒の中に吸収し、圧縮させ、弾のように打ち出すことが出来る。
空筒砲ラフイメージ 画像提供 犬塩さびきさん
威力はそれなりにあるが、空気を充填するのに時間がかかる。
形状は銃と言うより楽器のトランペットに近い。
キュイーン
音と共に空筒砲が空気の吸引をを開始した。
空筒砲を使うには、3分間の充填時間が要る
赤・黄色・緑・青の四つのランプがあり、充填容量を教えてくれる。
青のランプが光れば充填完了である。
今はまだ赤ランプ。
空筒砲は、戦闘には不利な武器だ。
そこで少年は、腰に2丁ぶらさげ、荷物袋に予備を2丁つるしていた。
連射は出来ないが、充填時間を攻略するには十分であろう。
少年は突き飛ばして遠くにいる。
犬は警戒して近寄ってこない。
それを確認したアルマジロンは、再び体を地面に伏せてしまった。
これ以上、腹を攻撃されてはたまらない。
目も前足で覆い隠し、岩のごとくじっとして動かなくなった。
それは、血の海に浮かぶ島のようだ。
空筒砲のランプが黄色に変わった。
充填完了まで後2分。
「くそ、あれじゃ威力が出ない」
全身鎧と化したアルマジロンには空筒砲でさえも、あまり効き目が無い。
少年はもう一度アルマジロンを立たせようと、柳刃包丁で立ち向かっていく。
何度も何度も斬りつける。が、刃こぼれするだけ。
音だけがむなしく響く。やはり効き目は無い。
空筒砲のランプは緑に変わった。
後1分。
このままでは、空筒砲が充填されても意味が無い。
よし、もう一度砂に潜れと言わんばかりに、少年はジョグに目で合図を送った。
ジョグは少年の合図を見つつ、また砂の中にもぐりこんだ。
砂の中で懸命に犬かきするジョグ。
だが、先程のように砂の中をすいすいとは進めない。
アルマジロンの血が砂の中にまで浸透している。
砂が重い。
少年はジョグがたどり着くまで、懸命に柳刃包丁を振るった。
この強い日差しの中、激しい動きは相当に体力を奪う。
しかし、やらなければ自分がやられる。
第一、モンスターは食料になる。
荒野の中で食料を確保することは、モンスターにとっも少年にとっても難しいことである。
その意味でも、少年は必死だったのである。
ジョグはようやくアルマジロンの腹部にたどり着くと、また口を大きく開き腹部に噛み付いた。
グギャギャギャギャャャャャャーーーー!!!!!!
絶叫に近い叫びであった。
その痛みは相当なものであったのか、アルマジロンは宙に飛び跳ねてしまった。
その時、
チーン
電子レンジの解凍音みたいな音がして、空筒砲のランプが青に変わった。
充填完了。
いつでも打ち出せる。
ジョグはまだ噛み続けている。
アルマジロンの腹にブラブラとぶら下がっていた。
アルマジロンは、また腹にぶら下がっているジョグを振り落とそうと、後ろ足を軸に体を大きく右に左に振る。
少年はアルマジロンとの距離をとる。
あんまり近すぎては、威力が出ないからだ。
少年は腰を落とし、空筒砲を右腕でかかえ、左手を添えた。
「今だ!!!!」
合図と共にジョグはアルマジロンからはなれる。
その瞬間、少年は空筒砲のトリガーを引いた。
ブシュ
空筒砲から発射された空気弾。
以外にも音は小さい。
しかも、その空気弾はピンポン玉程度の大きさだ。
これで、3メートルにもなるモンスターを倒せるのか。
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
空気弾はアルマジロンに向かって飛んでいく。
周りの空気をからめとり、急速に大きくなっていく。
それは、少年のこぶし程度の大きさになり、バレーボールほどの大きさになった。
さらには砂を巻き上げ、ギュルギュルと音を立てながら渦を作り、かなりの回転を加えている。
一筋の黄色い線となり、打ち出したときより数倍の大きさになった空気弾は、
ズドドドドドゴーーーーーーンンンン!!!!!!!
アルマジロンの腹の傷に直撃した。
アルマジロンは声さえ出せない程の激痛に襲われた。
大量の血が流れ出す。
砂地は真っ赤な血の海と化す。
それでも、まだ倒れない。
少年は更に突き刺そうと飛び上がった。
その時さらに凶暴化したアルマジロンは、体を反転させながら、少年めがけて尻尾を振りかざす。
尻尾は少年の横っ腹にあたり、突き飛ばされてしまった。
アルマジロンは生きるために必死である。
食料と思って咬み付いたにもかかわらず、その食料から手痛い反撃を食らっているのだから。
アルマジロンは尚も尻尾を振り回し、今度はジョグをねらった。
しかしジョグは、ことごとくそれをかわす。
かわしながらも、腹部を咬もうと果敢に挑むが、なかなか近づくことが出来ない。
それを見ていた少年は、立ち上がりながら、
「接近戦は無理か」
目を突かれ腹をえぐられて暴れるアルマジロン。近づくことが出来ない。
少年は腰にぶら下げた空筒砲(からづつほう)のスイッチを入れた。
空筒砲とは、前世界の遺物である。
空気を筒の中に吸収し、圧縮させ、弾のように打ち出すことが出来る。

空筒砲ラフイメージ 画像提供 犬塩さびきさん
威力はそれなりにあるが、空気を充填するのに時間がかかる。
形状は銃と言うより楽器のトランペットに近い。
キュイーン
音と共に空筒砲が空気の吸引をを開始した。
空筒砲を使うには、3分間の充填時間が要る
赤・黄色・緑・青の四つのランプがあり、充填容量を教えてくれる。
青のランプが光れば充填完了である。
今はまだ赤ランプ。
空筒砲は、戦闘には不利な武器だ。
そこで少年は、腰に2丁ぶらさげ、荷物袋に予備を2丁つるしていた。
連射は出来ないが、充填時間を攻略するには十分であろう。
少年は突き飛ばして遠くにいる。
犬は警戒して近寄ってこない。
それを確認したアルマジロンは、再び体を地面に伏せてしまった。
これ以上、腹を攻撃されてはたまらない。
目も前足で覆い隠し、岩のごとくじっとして動かなくなった。
それは、血の海に浮かぶ島のようだ。
空筒砲のランプが黄色に変わった。
充填完了まで後2分。
「くそ、あれじゃ威力が出ない」
全身鎧と化したアルマジロンには空筒砲でさえも、あまり効き目が無い。
少年はもう一度アルマジロンを立たせようと、柳刃包丁で立ち向かっていく。
何度も何度も斬りつける。が、刃こぼれするだけ。
音だけがむなしく響く。やはり効き目は無い。
空筒砲のランプは緑に変わった。
後1分。
このままでは、空筒砲が充填されても意味が無い。
よし、もう一度砂に潜れと言わんばかりに、少年はジョグに目で合図を送った。
ジョグは少年の合図を見つつ、また砂の中にもぐりこんだ。
砂の中で懸命に犬かきするジョグ。
だが、先程のように砂の中をすいすいとは進めない。
アルマジロンの血が砂の中にまで浸透している。
砂が重い。
少年はジョグがたどり着くまで、懸命に柳刃包丁を振るった。
この強い日差しの中、激しい動きは相当に体力を奪う。
しかし、やらなければ自分がやられる。
第一、モンスターは食料になる。
荒野の中で食料を確保することは、モンスターにとっも少年にとっても難しいことである。
その意味でも、少年は必死だったのである。
ジョグはようやくアルマジロンの腹部にたどり着くと、また口を大きく開き腹部に噛み付いた。
グギャギャギャギャャャャャャーーーー!!!!!!
絶叫に近い叫びであった。
その痛みは相当なものであったのか、アルマジロンは宙に飛び跳ねてしまった。
その時、
チーン
電子レンジの解凍音みたいな音がして、空筒砲のランプが青に変わった。
充填完了。
いつでも打ち出せる。
ジョグはまだ噛み続けている。
アルマジロンの腹にブラブラとぶら下がっていた。
アルマジロンは、また腹にぶら下がっているジョグを振り落とそうと、後ろ足を軸に体を大きく右に左に振る。
少年はアルマジロンとの距離をとる。
あんまり近すぎては、威力が出ないからだ。
少年は腰を落とし、空筒砲を右腕でかかえ、左手を添えた。
「今だ!!!!」
合図と共にジョグはアルマジロンからはなれる。
その瞬間、少年は空筒砲のトリガーを引いた。
ブシュ
空筒砲から発射された空気弾。
以外にも音は小さい。
しかも、その空気弾はピンポン玉程度の大きさだ。
これで、3メートルにもなるモンスターを倒せるのか。
キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン
空気弾はアルマジロンに向かって飛んでいく。
周りの空気をからめとり、急速に大きくなっていく。
それは、少年のこぶし程度の大きさになり、バレーボールほどの大きさになった。
さらには砂を巻き上げ、ギュルギュルと音を立てながら渦を作り、かなりの回転を加えている。
一筋の黄色い線となり、打ち出したときより数倍の大きさになった空気弾は、
ズドドドドドゴーーーーーーンンンン!!!!!!!
アルマジロンの腹の傷に直撃した。
時を元に戻そう。
アルマジロンと対峙していた少年の左腕は、痺れてうまく使えない。
右腕のみで下から上へ振り上げるように様に、何度も何度も斬りつける。
「くそ!腹さえ見せれば!」
だが腹部を守るため、地面に伏せている。
傷付いた目も腕で覆って、岩の如くじっとしている。
こうなると全身鎧と同じだ、攻めようがない。
少年は考えた、腹部を狙うにはどうすればいいかと。
そこで1つの案を考えた。
すぐさま少年は、ジョグに砂に潜れと言わんばかりに、目で合図を送った。
ジョグは少年の表情で少年の言わんとしている事を察すると、アルマジロンの後ろに回り込み、砂を懸命にかき始めた。
ジョグの足にはカギ爪がある。カギ爪は砂をかけるよう湾曲している。
ものすごい早さである。あっという間に砂にもぐりこんだ。
少年はジョグの動きを悟られまいとして、アルマジロンの体を連続して斬りつける。
だが柳刃包丁では通用しない。
それはもう、わかっている。
だが問題ない。モンスターの注意を引き付けておくためだ。
その間ジョグは砂の中をかき進んでいく。
少年は様子を見ながら、何度も何度も斬りつける。
いや今はただ、たたいているだけ。
もがいているだけかもしれない。
そうこうするうちに、ジョグがアルマジロンの腹部までたどり着いた。
そして大きく口を開くや、思いっきり腹に噛み付いた。
ギャャャャーーー!!!
突然の激痛に、アルマジロンは悲鳴とともに上半身を上げた。
腹には噛み付いたままのジョグが、ぶら下がっている。
この時少年は、すばやくアルマジロンから遠く距離をとっていた。
アルマジロンはジョグを振り払おうと前足を大きく振る。
だがアルマジロンは、体が大きいわりに足は短い。
ジョグには届かない。
ならばと、アルマジロンはジョグを振り落とそうとし、体を左右に振る。
しかし、ジョグは振り落とされまいとし、さらに深く咬みこんだ。
グギャーーー
さらに激痛が増す腹部。
たまらずアルマジロンは後ろ足で立ち上がる。
立ち上がったその高さは、3メートルにもなる。
腹から背まで2メートルほどの幅、4つ足は短い。かなり不恰好な生物だ。
アルマジロンはその不恰好な巨体を、激しく右に左にに振った。
古時計の振り子のように左右にぶらぶらと揺れるジョグ。
それでもジョグは足のカギ爪を使って、犬パンチを食らわせている。
アルマジロンの腹部は、ほかの部位と違って鎧状の皮膚ではない事はすでに述べた。
ジョグのカギ爪は、アルマジロンの腹部を切り開いていく。
その血しぶきは、ジョグの白い体を真っ赤に染めた。
この戦い、見た目はこっけいだが、彼らには生死をかけた戦いである。
「ジョグ!!!!!」
少年が叫んだ。
ジョグの攻撃により腹部をあらわにしたアルマジロン。
(今がチャンスだ。剣を深く突き刺してやる)
少年は思った。
少年の剣とは、もちろん柳刃包丁。
ジョグは少年の叫びとともに、アルマジロンの腹の肉をもぎ取りながら、後ろ足で強くけり、飛び降りた。
離れていた少年は、柳刃包丁を水平に構え、アルマジロンめがけて走りこむ。
砂地に足を取られながらも、思いっきり高く飛び上がり、力の限りでアルマジロンの傷ついた腹に柳刃包丁を突き刺した。
アルマジロンと対峙していた少年の左腕は、痺れてうまく使えない。
右腕のみで下から上へ振り上げるように様に、何度も何度も斬りつける。
「くそ!腹さえ見せれば!」
だが腹部を守るため、地面に伏せている。
傷付いた目も腕で覆って、岩の如くじっとしている。
こうなると全身鎧と同じだ、攻めようがない。
少年は考えた、腹部を狙うにはどうすればいいかと。
そこで1つの案を考えた。
すぐさま少年は、ジョグに砂に潜れと言わんばかりに、目で合図を送った。
ジョグは少年の表情で少年の言わんとしている事を察すると、アルマジロンの後ろに回り込み、砂を懸命にかき始めた。
ジョグの足にはカギ爪がある。カギ爪は砂をかけるよう湾曲している。
ものすごい早さである。あっという間に砂にもぐりこんだ。
少年はジョグの動きを悟られまいとして、アルマジロンの体を連続して斬りつける。
だが柳刃包丁では通用しない。
それはもう、わかっている。
だが問題ない。モンスターの注意を引き付けておくためだ。
その間ジョグは砂の中をかき進んでいく。
少年は様子を見ながら、何度も何度も斬りつける。
いや今はただ、たたいているだけ。
もがいているだけかもしれない。
そうこうするうちに、ジョグがアルマジロンの腹部までたどり着いた。
そして大きく口を開くや、思いっきり腹に噛み付いた。
ギャャャャーーー!!!
突然の激痛に、アルマジロンは悲鳴とともに上半身を上げた。
腹には噛み付いたままのジョグが、ぶら下がっている。
この時少年は、すばやくアルマジロンから遠く距離をとっていた。
アルマジロンはジョグを振り払おうと前足を大きく振る。
だがアルマジロンは、体が大きいわりに足は短い。
ジョグには届かない。
ならばと、アルマジロンはジョグを振り落とそうとし、体を左右に振る。
しかし、ジョグは振り落とされまいとし、さらに深く咬みこんだ。
グギャーーー
さらに激痛が増す腹部。
たまらずアルマジロンは後ろ足で立ち上がる。
立ち上がったその高さは、3メートルにもなる。
腹から背まで2メートルほどの幅、4つ足は短い。かなり不恰好な生物だ。
アルマジロンはその不恰好な巨体を、激しく右に左にに振った。
古時計の振り子のように左右にぶらぶらと揺れるジョグ。
それでもジョグは足のカギ爪を使って、犬パンチを食らわせている。
アルマジロンの腹部は、ほかの部位と違って鎧状の皮膚ではない事はすでに述べた。
ジョグのカギ爪は、アルマジロンの腹部を切り開いていく。
その血しぶきは、ジョグの白い体を真っ赤に染めた。
この戦い、見た目はこっけいだが、彼らには生死をかけた戦いである。
「ジョグ!!!!!」
少年が叫んだ。
ジョグの攻撃により腹部をあらわにしたアルマジロン。
(今がチャンスだ。剣を深く突き刺してやる)
少年は思った。
少年の剣とは、もちろん柳刃包丁。
ジョグは少年の叫びとともに、アルマジロンの腹の肉をもぎ取りながら、後ろ足で強くけり、飛び降りた。
離れていた少年は、柳刃包丁を水平に構え、アルマジロンめがけて走りこむ。
砂地に足を取られながらも、思いっきり高く飛び上がり、力の限りでアルマジロンの傷ついた腹に柳刃包丁を突き刺した。
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