Archive | 2012年05月
からくり童子 風のジード
第9話 青いライブジェム
第9話 青いライブジェム
第61回 青い石
フィズリーが秘密の洞窟から帰ってきた。そこには、見知らぬ少年と白い柴犬がいた。
「だれ?」
「こんにちは、お嬢さん。俺は白柴のヘンドリー。ぼけーっと突っ立ってるのが、カタナだ」
カタナより先に、ジョグがフィズリーに声をかけた。
「にわとりさんが、しゃべったぁー!」
フィズリーは面白そうにジョグの鶏冠をなでる。
「にわとりさん、にわとりさん」
これには、カタナが吹き出した。
「ジョグお前、鶏だったのかぁ」
「ちが~う!俺は、犬族の戦士だぞ」
「鶏なのにぃ。俺は犬族の戦士だぞ~」
ジョグの話し方を真似するかのようにカタナは言い、腹を抱えて笑っている。
「ギャー」 ジョグはカタナの尻を噛んだ。悲鳴を上げ、お尻を手で支えるようようにして飛び跳ねるカタナ。
「お嬢さん、俺は鶏じゃない。犬族の戦士、白柴のヘンドリーだ」
「変なトリ?」
カタナはツボにはまってしまったのか、腹を押さえ転げ回って笑っている。
カプッ 「痛てー!」
犬族の戦士、白柴のヘンドリーことジョグは、腹いせにカタナのお尻を再度噛んだ。
「何で、俺ー」
(何をやっとるんじゃ、こいつらは)という思いを胸に秘め、ゼファーはフィズリーに問う。
「フィズリー、ジードの様子はどうじゃった」
「う~ん、まだ目を覚まさないの」
「そうか、ジードに何か起こってるんじゃろうか。それとも、もう目を覚まさないじゃろか」
「そんなこと無いよ。ジードはねぇ、今、夢を見ているの」
「夢?わかるのか」 「わかんないっ。でも、ちゃんと起きるよ」
「そう感じるのか」 「うん」
(やっぱり、からくり童子間で感じるものがあるのかも)と、思うゼファーである。
白柴のヘンドリー事ジョグは、首をかしげながらゼファーに近寄ってきた。
「ジード。ゼファーさんのお坊ちゃんですか?」 「えっ、まぁ、そういう事じゃ」
「ご病気か何かで」 「うん、まあな。ここん所、寝たきりじゃ」
苦しい言い訳をするゼファーである。
「じゃあ、後でお見舞いでもしましょう」
ゼファーに対して、なぜか丁寧である白柴のヘンドリー。丁寧ではあるが、多少ぶっきら棒にも思える。
そこへノーグとハンマが、モザークの3戦士を連れて、やって来た。
「ゼファー、いるか」 「ああ、こっちだ」
5人は、声の聞こえた方へと進む。
「カタナァ、悪さしてるんじゃないだろうねぇ」
入って来るなりカタナを見つけて、即座に言い放つ女戦士グレープ。
「ジョグ、ちゃんと監視していたか」
「あぁ、今ン所大丈夫だ」 「そうか」
「ちなみに、俺はヘンドリーって名前だぜ」 「なっ、しゃべれるのか」
目を白黒むき出して、驚きを隠せないグレープであったが、そこは百戦錬磨の兵。
ノーグやカタナほどの驚きは見せなかった。
「そう、変な鳥さん。変な鳥さんって言うんだよ」
と、ジョグの鶏冠をなでながら、グレープに話しかけるフィズリー。
「変なトリ?」 「ヘンドリーです。お嬢さん」
「まあまあ、良いじゃないか。トリさん」 「トリさん、トリさん」
「良いわけないでしょう。犬族の戦士、白柴のヘンドリーって言う立派な名前があるんですから」
「トリさん、トリさん」 「お嬢ちゃん……あのね」
「まぁ、トリさんは置いといて」 「………」
「ゼファー、紹介するよ。こちらが今回のモザーク自警団のリーダーのパース、娘さんのグレープそして、俺の甥っ子のパース。3人は、からくりの技術に興味があるそうだ」
「そんで、こっちがゼファー。女の子がフィズリーだ 」
「フーン、イメージ通りの人だ。白い髪に白い髭、白衣を着込んだマッドサイエンティストって感じかな」
グレープは心の内を隠さず、堂々と言い切った。以前、ノーグがゼファーのことを評した台詞と同じである。
(わし、この小娘は嫌い)と、内心思うゼファーである。
「ゼファー、からくり人形についてなんだが、あれはモザークには無い代物だからな、興味がある」
「あれは1000年前の装置じゃよ。人間のサポートをするために作られた代物じゃ」
「1000年前か……とてつもない文明だったんだな」
「あぁ、崩壊したがな」
「そんな崩壊した世界のからくりを掘り起こして、大丈夫なのか」
「からくりがどうという事より、それを使う人間のほうに問題があったんじゃろうて」
「からくりは人間が操作せんと、動かんからな」
「からくり人形は、自分の意志で動いているように見えたが」
「あれは基本動作が組み込まれておる。人間の指示で、その動作を選択しているだけじゃ」
「じゃあ、間違った動作を組み込まれていたら、どうなる」
「一応、決まりみたいな物があってな、人間に害をなす行為は組み込まれておらんはずじゃが、そこまで詳しくは、わしも知らん」
「もし、人間に害をなす様な行為が組み込まれておれば、ただ事ではすまんじゃろうな」
「とは言え、イザークの村は発展途上でな、からくり人形をも使わなければ生活が困難になるのじゃ。まだ住人の数も少ないんでな。頼らずにすめば、それはそれで良い事じゃ」
「そうか、モザークは住人の数が多いい、今のやり方で充分潤ってる訳だし、必要ないかも知れんな」
「私は欲しいな。なんか、可愛いじゃない」
「………かわいい?」
パースとゼファーは目を点にしていた。
ゼファーにしてみれば、からくり人形を可愛いと表現されたのは初めてであった。
(ちょっとは、この小娘を好きになっても良いかも)と思うゼファーである。
「ゼファー、さっきはどうやってモンスターを投げ飛ばしたんだ」
鍛冶屋のハンマが声を出した。
「あぁ、あれか。あれはな、これじゃよ」
5人の目の前で、空筒砲を指差しながら答えた。
「これは?」 「空筒砲と言って、圧縮した空気を打ち出す機巧装置じゃよ」
「武器なのか」 「ああ、そうじゃ。わしが作った」
「どうしてこんな物があるなら、前もって教えてくれなかった」
「すまん、忘れてた」 「忘れてたぁー」
「もう30年も前の前に作った装置じゃ。そりゃぁ忘れるわい」
「他にも武器になりそうな、機巧装置はあるのか」 「いや、ここにあるだけじゃ」
「新しく作れるかい。あれは、かなりに戦力になるんだが」
「無理じゃな、こういう石がないと」
ゼファーは5人にライブジェムを見せてやった。
「なんだ、石が光ってるじゃないか」 「そうだ、こういう光る鉱石が必要なんじゃ」
「ちょっと見せて」
グレープがゼファーからライブジェムを受け取る。 窓の外から入る光にかざしながら、鉱石を見る。
「こういうの、私、持ってるわよ。色が違うけどね」
「なんじゃと、持っとるのか」
「あっ、いや、違うかもしれないけど。色違うし」
「どんな色じゃ」
「うすい青よ。青白く光ってるの」
「どこで、手に入れた」
「えっ、えーとね。森よ」
「だれ?」
「こんにちは、お嬢さん。俺は白柴のヘンドリー。ぼけーっと突っ立ってるのが、カタナだ」
カタナより先に、ジョグがフィズリーに声をかけた。
「にわとりさんが、しゃべったぁー!」
フィズリーは面白そうにジョグの鶏冠をなでる。
「にわとりさん、にわとりさん」
これには、カタナが吹き出した。
「ジョグお前、鶏だったのかぁ」
「ちが~う!俺は、犬族の戦士だぞ」
「鶏なのにぃ。俺は犬族の戦士だぞ~」
ジョグの話し方を真似するかのようにカタナは言い、腹を抱えて笑っている。
「ギャー」 ジョグはカタナの尻を噛んだ。悲鳴を上げ、お尻を手で支えるようようにして飛び跳ねるカタナ。
「お嬢さん、俺は鶏じゃない。犬族の戦士、白柴のヘンドリーだ」
「変なトリ?」
カタナはツボにはまってしまったのか、腹を押さえ転げ回って笑っている。
カプッ 「痛てー!」
犬族の戦士、白柴のヘンドリーことジョグは、腹いせにカタナのお尻を再度噛んだ。
「何で、俺ー」
(何をやっとるんじゃ、こいつらは)という思いを胸に秘め、ゼファーはフィズリーに問う。
「フィズリー、ジードの様子はどうじゃった」
「う~ん、まだ目を覚まさないの」
「そうか、ジードに何か起こってるんじゃろうか。それとも、もう目を覚まさないじゃろか」
「そんなこと無いよ。ジードはねぇ、今、夢を見ているの」
「夢?わかるのか」 「わかんないっ。でも、ちゃんと起きるよ」
「そう感じるのか」 「うん」
(やっぱり、からくり童子間で感じるものがあるのかも)と、思うゼファーである。
白柴のヘンドリー事ジョグは、首をかしげながらゼファーに近寄ってきた。
「ジード。ゼファーさんのお坊ちゃんですか?」 「えっ、まぁ、そういう事じゃ」
「ご病気か何かで」 「うん、まあな。ここん所、寝たきりじゃ」
苦しい言い訳をするゼファーである。
「じゃあ、後でお見舞いでもしましょう」
ゼファーに対して、なぜか丁寧である白柴のヘンドリー。丁寧ではあるが、多少ぶっきら棒にも思える。
そこへノーグとハンマが、モザークの3戦士を連れて、やって来た。
「ゼファー、いるか」 「ああ、こっちだ」
5人は、声の聞こえた方へと進む。
「カタナァ、悪さしてるんじゃないだろうねぇ」
入って来るなりカタナを見つけて、即座に言い放つ女戦士グレープ。
「ジョグ、ちゃんと監視していたか」
「あぁ、今ン所大丈夫だ」 「そうか」
「ちなみに、俺はヘンドリーって名前だぜ」 「なっ、しゃべれるのか」
目を白黒むき出して、驚きを隠せないグレープであったが、そこは百戦錬磨の兵。
ノーグやカタナほどの驚きは見せなかった。
「そう、変な鳥さん。変な鳥さんって言うんだよ」
と、ジョグの鶏冠をなでながら、グレープに話しかけるフィズリー。
「変なトリ?」 「ヘンドリーです。お嬢さん」
「まあまあ、良いじゃないか。トリさん」 「トリさん、トリさん」
「良いわけないでしょう。犬族の戦士、白柴のヘンドリーって言う立派な名前があるんですから」
「トリさん、トリさん」 「お嬢ちゃん……あのね」
「まぁ、トリさんは置いといて」 「………」
「ゼファー、紹介するよ。こちらが今回のモザーク自警団のリーダーのパース、娘さんのグレープそして、俺の甥っ子のパース。3人は、からくりの技術に興味があるそうだ」
「そんで、こっちがゼファー。女の子がフィズリーだ 」
「フーン、イメージ通りの人だ。白い髪に白い髭、白衣を着込んだマッドサイエンティストって感じかな」
グレープは心の内を隠さず、堂々と言い切った。以前、ノーグがゼファーのことを評した台詞と同じである。
(わし、この小娘は嫌い)と、内心思うゼファーである。
「ゼファー、からくり人形についてなんだが、あれはモザークには無い代物だからな、興味がある」
「あれは1000年前の装置じゃよ。人間のサポートをするために作られた代物じゃ」
「1000年前か……とてつもない文明だったんだな」
「あぁ、崩壊したがな」
「そんな崩壊した世界のからくりを掘り起こして、大丈夫なのか」
「からくりがどうという事より、それを使う人間のほうに問題があったんじゃろうて」
「からくりは人間が操作せんと、動かんからな」
「からくり人形は、自分の意志で動いているように見えたが」
「あれは基本動作が組み込まれておる。人間の指示で、その動作を選択しているだけじゃ」
「じゃあ、間違った動作を組み込まれていたら、どうなる」
「一応、決まりみたいな物があってな、人間に害をなす行為は組み込まれておらんはずじゃが、そこまで詳しくは、わしも知らん」
「もし、人間に害をなす様な行為が組み込まれておれば、ただ事ではすまんじゃろうな」
「とは言え、イザークの村は発展途上でな、からくり人形をも使わなければ生活が困難になるのじゃ。まだ住人の数も少ないんでな。頼らずにすめば、それはそれで良い事じゃ」
「そうか、モザークは住人の数が多いい、今のやり方で充分潤ってる訳だし、必要ないかも知れんな」
「私は欲しいな。なんか、可愛いじゃない」
「………かわいい?」
パースとゼファーは目を点にしていた。
ゼファーにしてみれば、からくり人形を可愛いと表現されたのは初めてであった。
(ちょっとは、この小娘を好きになっても良いかも)と思うゼファーである。
「ゼファー、さっきはどうやってモンスターを投げ飛ばしたんだ」
鍛冶屋のハンマが声を出した。
「あぁ、あれか。あれはな、これじゃよ」
5人の目の前で、空筒砲を指差しながら答えた。
「これは?」 「空筒砲と言って、圧縮した空気を打ち出す機巧装置じゃよ」
「武器なのか」 「ああ、そうじゃ。わしが作った」
「どうしてこんな物があるなら、前もって教えてくれなかった」
「すまん、忘れてた」 「忘れてたぁー」
「もう30年も前の前に作った装置じゃ。そりゃぁ忘れるわい」
「他にも武器になりそうな、機巧装置はあるのか」 「いや、ここにあるだけじゃ」
「新しく作れるかい。あれは、かなりに戦力になるんだが」
「無理じゃな、こういう石がないと」
ゼファーは5人にライブジェムを見せてやった。
「なんだ、石が光ってるじゃないか」 「そうだ、こういう光る鉱石が必要なんじゃ」
「ちょっと見せて」
グレープがゼファーからライブジェムを受け取る。 窓の外から入る光にかざしながら、鉱石を見る。
「こういうの、私、持ってるわよ。色が違うけどね」
「なんじゃと、持っとるのか」
「あっ、いや、違うかもしれないけど。色違うし」
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「うすい青よ。青白く光ってるの」
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