ホーム   »  スポンサー広告  »  スポンサーサイト  »  からくり童子 風のジード   »  07 始まりの刻  »  第7話 始まりの刻 第47回 風が止んだ日

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第7話 始まりの刻 第47回 風が止んだ日

その日の夕方であった。

太陽が水平線の近くまで沈んで、日差しが弱まり、イザークの村は少し暗くなっていた頃である。

村人は住居エリアの外枠に集まり、ガラクタ山の様子を伺っていた。

ポカンと口を開けている者もいれば、そわそわと落ち着かず激しく会話をしている者もいる。

「どうしたんだ、陽が沈もうとしているのに風が吹かない」

「人魂も出てないわ」

イザークの村では、暗くなると決まって風が吹く。

これはもう何度も述べた。

しかし今、風が起きないのである。

皆は、ガラクタ山が風の発生源だと考えている。

風が吹く前は必ずガラクタ山の天辺に、ほのかに白い光の玉が浮かび上がる。

村人は人魂だと言うが、今日はそれさえも出ていないのだ。

「なぜだ、なぜ風が吹かない」

イザークの村にとって、風は大切な役目を持っていた。

この事についても既に述べていることであるが、あえてもう一度話すとしよう。

暗くなると吹く風は、イザークの村の崖を這うようにして、外周をぐるりと回り続ける。

その風は夜の間、盗賊やモンスターの侵入を防ぐこととなっていた。

そのおかげで、イザークの村の住人は、何もおびえることもなく、安心して眠りにつくことが出来た。

しかし、その風が発生しないとなると、風の恩恵を受けることが出来なくなる。

村人は焦った。

焦りは恐怖を生む。

「どうしたら、どうしたらいい」

村人は騒ぐ。

「ジードだよ」

「お化けのジードだよ」

「きっと、ジードなら何とかしてくれるよ」

仲良し三人組が声を上げた。

すると、それに呼応するかのように、1人の女性が声を挙げた。

「そうよ、ジードよ。風を起こしていたのはジードよ」

群集心理は恐い。一人の発した言葉に皆が反応した。

「そうだぜ、ジードだ。あいつが風を起こしていたんだ」

「誰かジードを連れて来い」

「ゼファーの所から連れてて来い」

2・3人の男たちが、ゼファーの風車小屋へ駆け出した。

そのころゼファーの家では夕食をとっていた。

食事を取りながらも、ゼファーは不思議そうに首をかしげていた。

食事をとる時間になると、決まって聞こえてくる風車の回転音が無い。

振動も伝わってこない。

「壊れたのかな」

すると、窓越しに外を眺めていたフィズリーが言った。

「今日は風さん、吹いてないんだね」

「な、何!!」

「今日は何も聞こえないよ」

フィズリーの言葉にゼファーは驚いた。

そしてジードの顔を見る。

「やっぱりこの子が風を」

ゼファーは思わず、外に飛び出した。

「なるほど、風が無い」

風が吹いていないことを確かめると、ドア越しにジードを見つめる。

少し笑顔が浮かぶジード。

食事は楽しいという気持ちを感じ始めていた。

ジードにとっては、風の存在意義がわからない。

記憶を失っているからである。

「ジードは風を生み出す童子なのだろうか」

事実、昨日までは風は吹いていた。

ガラクタ山でジードを発見した今日、風が止んだ。

「おーい、ゼファー」

ガラクタ山から駆け出してきた男たちが、ゼファーに近づいてくる。

「風の件だろう」

ゼファーが先に切り出した。

「そうだ、夕方だと言うのに風が吹かない」

「ジードはいるか、ジードにに確かめたい」

記憶の無いジードに確かめたところで、判ろうはずもないと感じるゼファーであったが、興味はある。

「ジードを連れて、ガラクタ山の皆のところに来てくれ」

「よし、行こう」

「ジード、フィズ、出掛けるぞ」

「えー、まだ食べ終わってなーい」

フィズリーもジードも不服そうな顔でゼファーを見る。

「大切なことだ、直ぐに出掛けるぞ」

三人がガラクタ山の近くまで来ると、村人は一斉にジードを囲むようにして集まってきた。

「ジード、お前なのか。風を発生していたのは」

「頼むジード、風を起こしてくれ」

「お前が守ってくれてたんだろう」

村人は一斉にジードに頼み込むが、当の本人は村人が何を言ってるのか判らず、ただ呆然と立ちすくんでいた。

「えー、ジードが風さんなの!」

フィズリーが言う。とても不思議そうな顔つきで、ジードを見続けていた。

(からくり童子間でも、相手の能力を見極めることは出来ないのか。二人とも記憶を失っているせいか、それとも、ただのんきなだけなのか)

ゼファーは思う。

しかし、そんなことを考えるより、今の状況を打破しなければならない。

「ジードにどうこう言っても始まらない」

「これからの対策をとるべきだ」

村人に対して高らかに声を上げる。

「とりあえずだな、こういう時は、こういう時は………???」

声を出したは良いが、対策が思い浮かばない。

そこに、鍛冶屋のハンマが皆に言った。

「侵入者を防ぐためにかがり火を焚いて、村の入り口を警備しよう」

鍛冶屋のハンマは、モザークの村からの移住者であった。

モザークでは村人自ら自警団を組んで対策をとっている。

その知識を口にした。

皆は今、そのハンマの意見に頼るしかなかった。
他に対策が思いかばないからである。

鍛冶屋のハンマを中心にして、実行に移すこととした。

そんな中、なぜかゼファーだけが、ふてくされている。

(わしも、そう言おうと思っておったのに……)


スポンサーサイト
Comment
Re: タイトルなし
返事が遅くなりまして、申し訳ありません。

だるいファンタジーになっておりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
これからもよろしくお願いいたします。

ありがとうございます。
ようやくここまで読み終わりましたw
続きが楽しみです

ファンタジー小説は結構好きです
ぴゆうさん
すばらしいコメントありがとうございます。
そうなんです。
石は投げられました。
これから起きる事は、うわーっ、どうしよう。

これからの進行次第では、どっちになるのか?
どちらになろうが、物語は進むでしょう。
静かだった湖面に石。
小さな石のはずなのに、波紋はどんどん大きくなって行きそう。
とてつもない質量の石なのかもしれない。
それにジードって悪なの善なの?
Trackback
Trackback URL
Comment Form
管理者にだけ表示を許可する
今日のわんこ
プロフィール

からくりオム

Author:からくりオム

めざせ!いきもの大図鑑
Yahoo!ブログで、 動物図鑑やってます。
ここを、クリック!!  目標 1000種類
只今、   4種類

コアラ
追加しました
画像クリックで、覗いて見て下さい。
ブログランキング参加中
クリックして頂けると、操作意欲が燃え上がります。
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ 人気ブログランキングへ
ご訪問された際は、ぜひクリックしてやってくださいませ。
最新記事  
最新コメント
ご訪問者様
Yahoo!ショッピング
◆2950円以上で送料無料!
◆歯の弱った猫や高齢猫も食べやすい!
Yahoo!ショッピング
今までの避難リュックセットHRS15に保存水と災害備蓄用パンが追加になった、災害時に役立つ避難グッズです。
MicroAd
RSSリンクの表示
あし@
QRコード
携帯でも、お楽しみください。
QR
メニューバナー
からくり童子 風のジード 通常版 目次一覧  機巧童子 風のジード 修正版 目次一覧  からくり童子 ライブ・ジェム 編集版 目次一覧
ブログ紹介
☆わんちゃん 犬里親募集ブログ!
犬里親募集・迷子犬捜索募集
このブログは、 犬の里親になりたい人の為のブログです。 犬の迷子捜しもしています。 犬のお役立ち情報なんかも あわせて紹介していきます。
カテゴリ
フリーエリア
Twitterボタン
Twitterブログパーツ by 無料ブログパーツ
[PR]クーバル                 「おきてがみ」FC2の方も押して頂けると、ありがたいです。 blogram投票ボタン
おすすめサイト(バナー有)
 駄文同盟.com   駄文同盟.com[全創作系個人サイト検索エンジン]様 ネコも歩けばくたびれる   犬塩さびき様 五黄猫国往来記   のくにぴゆう様 小説ブログ「DOOR」   lime様 三流自作小説劇場    ヒロハル様 黄輪雑貨本店 新館  黄輪様 屋根裏夜警団   有村司様
おすすめサイト
ブロとも申請フォーム
ブロともの皆さん
最新トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。