機巧童子 第2話 森を駆け抜けろ! 009 モーニングコーヒー
太陽が地平線から顔を覗かせていたころ、少年は目を覚ました。
朝から日差しが強く差し込み、今日も気温はかなり上がりそうだ。
近くには森が広がっていて、朝日を浴びた緑が朝露できらきらと光っている。
そよ風が深緑の香りを運んでくる。
少年は伸びをすると、朝の空気をめいっぱい吸い込んだ。
荷物の中からコーヒー豆を取り出し、手頃な石で豆を砕き、沸かした湯でコーヒーを入れる。
男の朝は、一杯のコーヒーで始まる。
ダンディズムに憧れる少年に、モーニングコーヒーは欠かせない。
朝日を眺めながら、小指を立ててコーヒーを味わう。
フッ
朝日に向かって、ニヒルな微笑み。
ちょっと苦いが、これが大人の味だと深く思う少年であった。
ここは荒野に点在する巨大な岩の上。
昨日はアルマジロンとの戦いにより、日中のうちに森を抜けるのが不可能になり、一晩の宿とした。
砂上では寝ているうちに、モンスターの餌食となる可能性が高いのだ。
ジョグはすでに目覚めており、モンスターの気配はないかと岩の下で周囲を散策していた。
ジョグは毎朝、少年の行動を見つつも、何も言わない。
きっと、何も言う気がしないのだろう。
少年は荷物をまとめると、岩の上に立ち上がった。
今日もゴーグルという名の水中眼鏡を、かっこよくセットする。
「いくかっ!」
少年は荷物袋と柳刃包丁を背負い、大岩を滑空するかのように降りていく。
手はマントの裾をつかんで、水平に大きく広げる。
それは翼をイメージするかのように。
飛行機への憧れだろうか。
それとも、少年のたわむれか。
下にたどり着く直前、ジョグの目の前で岩をけってジャンプした。
ジョグからみた少年の姿は、朝日に映し出され輝いていた。
その中で、少年はポーズをきめた。ビシッと凛々しく。
だが、ジョグはあえて何も言わない。何も言えない。
ドスーーーン!!
少年は着地すると同時にポーズをきめた。
着地の衝撃が砂に響く。
「ジョグ、森に入るぞ」
少年は、ゴーグルという名の水中眼鏡をジョグに付けてあげ、並んで森へ向って歩き出した。
その時、後方で1つの砂の盛り上がりが出来た。
それは、ほんのかすかだが臭いがする。
次第に臭いは大きくなってくる。
砂の盛り上がりは、少年が着地した地点に向かって近づいてくるのである。
クンクン
ジョグが危険を察知した。
何か匂う。かすかに臭い。
ジョグは後ろを振り返った。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
砂が吹き上がり、サンドワームが出現した。
吠える間もなかった。
それに気付いた少年も、後ろを振り返る。
岩の近くで吹き上がった砂は、少し離れていたいたにも関わらず、少年とジョグの上から土砂降りの如く落ちてきた。
「どゅよわわわ???……!?」
急な状況に、少年は目の前の現実を把握できなかった。
朝っぱらから何てことだ。
サンドワームは、少年が飛び降りた岩の近くで物色しているが、獲物はいない事に気付く。
ドサッ
慌てた少年は、おもわずひっくり返ってしまった。
そのかすかな音を感知したのか、アルマジロンは砂に飛び込むように潜り、急激に近づいてくる。
少年は砂にはいつくばって、手足をバタバタし、もがいていた。
「ジョジョジョジョ……ジョグ!!!!!!」
ジョグがいた箇所に目をやると、そこにジョグはいない。
ジョグは一目散に、森に向かって逃げていた。
「こ、こらーーーーー!!!」
「俺を置いてくなーーーーー!!!!」
自分の叫びで、少年はようやく我に返った。
砂の上で手足をバタバタと、もがきながらも四つん這いになって、ジョグの後を四足で追う。
ジョグの真似をしているのではない。腰を抜かしていたのだ。
後ろからはサンドワームが迫る。
猛烈な速さだ。
少年は四足走行から、ようやく二足走行に立ち直った。
懸命に走る。死に物狂いで走る。
立ち止まったら確実に死ぬ。
森はすぐそこだ。
サンドワームは森の中には入ってこない。
森にさえたどり着ければ。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
だが砂が吹き上がり、再びサンドワームは少年のすぐ後ろで顔を出した。
カプッ
飲み込まれそうになるも、ギリギリかわす少年。
またしても吹き上がった砂に覆いかぶされて、身動きが取り難い。
だが、先ほどのような慌て振りはない。
順応性は良いほうだ。
即座に順応出来なければ、この世界いや戦闘においては生き残れない。
少年は落ち着いていた。
だが戦っても勝てる相手ではない。
ただただ、ひたすらに全力で走り続けるしかなかった。
サンドワームにとっては、せっかくの獲物である。逃すわけにはいかない。
大きく口を開けて、砂ごと少年を飲み込もうと挑む。
だが、砂に足を取られつつも、上手くその攻撃をかわしていく。
体力の限界まで力を振り絞り、ようやく森に飛び込むようにして逃げ込んだ。
朝から日差しが強く差し込み、今日も気温はかなり上がりそうだ。
近くには森が広がっていて、朝日を浴びた緑が朝露できらきらと光っている。
そよ風が深緑の香りを運んでくる。
少年は伸びをすると、朝の空気をめいっぱい吸い込んだ。
荷物の中からコーヒー豆を取り出し、手頃な石で豆を砕き、沸かした湯でコーヒーを入れる。
男の朝は、一杯のコーヒーで始まる。
ダンディズムに憧れる少年に、モーニングコーヒーは欠かせない。
朝日を眺めながら、小指を立ててコーヒーを味わう。
フッ
朝日に向かって、ニヒルな微笑み。
ちょっと苦いが、これが大人の味だと深く思う少年であった。
ここは荒野に点在する巨大な岩の上。
昨日はアルマジロンとの戦いにより、日中のうちに森を抜けるのが不可能になり、一晩の宿とした。
砂上では寝ているうちに、モンスターの餌食となる可能性が高いのだ。
ジョグはすでに目覚めており、モンスターの気配はないかと岩の下で周囲を散策していた。
ジョグは毎朝、少年の行動を見つつも、何も言わない。
きっと、何も言う気がしないのだろう。
少年は荷物をまとめると、岩の上に立ち上がった。
今日もゴーグルという名の水中眼鏡を、かっこよくセットする。
「いくかっ!」
少年は荷物袋と柳刃包丁を背負い、大岩を滑空するかのように降りていく。
手はマントの裾をつかんで、水平に大きく広げる。
それは翼をイメージするかのように。
飛行機への憧れだろうか。
それとも、少年のたわむれか。
下にたどり着く直前、ジョグの目の前で岩をけってジャンプした。
ジョグからみた少年の姿は、朝日に映し出され輝いていた。
その中で、少年はポーズをきめた。ビシッと凛々しく。
だが、ジョグはあえて何も言わない。何も言えない。
ドスーーーン!!
少年は着地すると同時にポーズをきめた。
着地の衝撃が砂に響く。
「ジョグ、森に入るぞ」
少年は、ゴーグルという名の水中眼鏡をジョグに付けてあげ、並んで森へ向って歩き出した。
その時、後方で1つの砂の盛り上がりが出来た。
それは、ほんのかすかだが臭いがする。
次第に臭いは大きくなってくる。
砂の盛り上がりは、少年が着地した地点に向かって近づいてくるのである。
クンクン
ジョグが危険を察知した。
何か匂う。かすかに臭い。
ジョグは後ろを振り返った。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
砂が吹き上がり、サンドワームが出現した。
吠える間もなかった。
それに気付いた少年も、後ろを振り返る。
岩の近くで吹き上がった砂は、少し離れていたいたにも関わらず、少年とジョグの上から土砂降りの如く落ちてきた。
「どゅよわわわ???……!?」
急な状況に、少年は目の前の現実を把握できなかった。
朝っぱらから何てことだ。
サンドワームは、少年が飛び降りた岩の近くで物色しているが、獲物はいない事に気付く。
ドサッ
慌てた少年は、おもわずひっくり返ってしまった。
そのかすかな音を感知したのか、アルマジロンは砂に飛び込むように潜り、急激に近づいてくる。
少年は砂にはいつくばって、手足をバタバタし、もがいていた。
「ジョジョジョジョ……ジョグ!!!!!!」
ジョグがいた箇所に目をやると、そこにジョグはいない。
ジョグは一目散に、森に向かって逃げていた。
「こ、こらーーーーー!!!」
「俺を置いてくなーーーーー!!!!」
自分の叫びで、少年はようやく我に返った。
砂の上で手足をバタバタと、もがきながらも四つん這いになって、ジョグの後を四足で追う。
ジョグの真似をしているのではない。腰を抜かしていたのだ。
後ろからはサンドワームが迫る。
猛烈な速さだ。
少年は四足走行から、ようやく二足走行に立ち直った。
懸命に走る。死に物狂いで走る。
立ち止まったら確実に死ぬ。
森はすぐそこだ。
サンドワームは森の中には入ってこない。
森にさえたどり着ければ。
ザババババーーーーンンンン!!!!!
だが砂が吹き上がり、再びサンドワームは少年のすぐ後ろで顔を出した。
カプッ
飲み込まれそうになるも、ギリギリかわす少年。
またしても吹き上がった砂に覆いかぶされて、身動きが取り難い。
だが、先ほどのような慌て振りはない。
順応性は良いほうだ。
即座に順応出来なければ、この世界いや戦闘においては生き残れない。
少年は落ち着いていた。
だが戦っても勝てる相手ではない。
ただただ、ひたすらに全力で走り続けるしかなかった。
サンドワームにとっては、せっかくの獲物である。逃すわけにはいかない。
大きく口を開けて、砂ごと少年を飲み込もうと挑む。
だが、砂に足を取られつつも、上手くその攻撃をかわしていく。
体力の限界まで力を振り絞り、ようやく森に飛び込むようにして逃げ込んだ。
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Comment
Re: タイトルなし
返事が遅くなりまして、申し訳ありません。
修正版 機巧童子 風のジード の第2話は、通常版 第2話よりキャラを増やし、もっとスリリングな物語にしようと思っています。
森のモンスターは、荒野より強いモンスターと謳っているにも関わらず、通常版では単にコミカルに進行しているに過ぎませんからね。
再設定で、ちょっと時間がかかると思いますが、お楽しみ頂ければと思います。
ありがとうございます。
修正版 機巧童子 風のジード の第2話は、通常版 第2話よりキャラを増やし、もっとスリリングな物語にしようと思っています。
森のモンスターは、荒野より強いモンスターと謳っているにも関わらず、通常版では単にコミカルに進行しているに過ぎませんからね。
再設定で、ちょっと時間がかかると思いますが、お楽しみ頂ければと思います。
ありがとうございます。
こんにちは。
少年、危機一髪。
少年の色々な憧れとその直後のサンドワームの急襲による緊迫感の差は一瞬どきりとさせられました。
なんとか森に逃げ込めた少年とジョグですが、この後どうなるのでしょうね……
楽しみにしています。
少年、危機一髪。
少年の色々な憧れとその直後のサンドワームの急襲による緊迫感の差は一瞬どきりとさせられました。
なんとか森に逃げ込めた少年とジョグですが、この後どうなるのでしょうね……
楽しみにしています。
珊瑚礁
そうですねえ、いつになるんですかねえ。
急展開かあ、そういう時に出会いがある。
これって、少年の憧れのヒーロー登場って感じなのかな。
でも普通に、ぶらり散歩の旅状態だったりして。
どうしようかなあ。
急展開かあ、そういう時に出会いがある。
これって、少年の憧れのヒーロー登場って感じなのかな。
でも普通に、ぶらり散歩の旅状態だったりして。
どうしようかなあ。
この少年がイザークの村にたどり着くのはいつになるんですね~?
そんな時は物語は急展開してるんですかね~?
続きを楽しみにしています。
そんな時は物語は急展開してるんですかね~?
続きを楽しみにしています。
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太陽が地平線から顔を覗かせていたころ、少年は目を覚ました。 朝から日差しが強く差し込み、今日も気温はかなり上がりそうだ。 近くには森が広がっていて、朝日を浴びた緑が朝露で
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