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からくり童子 第7話 始まりの刻 第48回 秘密の特訓

イザークの村は、いつもと変わらぬ心地よい朝を迎えていた。
村の中央にある広場には、昨夜のかがり火がわずかに残っている。
その煙は朝霧に混じり、もやもやと村の中を漂っていた。
盗賊やモンスターの侵入は無かったらしく、比較的穏やかな朝である。
いつもこの時間になると、広場には幾人かの人が行きかうのだが、今日はそれどころではなかった。
村人はタニヤの食堂に集まり、騒然としている。
風が止んだ今、様々な問題が発生するであろう。
これから先、どう対策をとるかで議論していたのだ。
イザークの村は、切り立った山からクワガタムシの角のように伸びた崖で、囲まれている。
その両角の先端、開いた部分が村の入り口になっている。
村に出入りする箇所は、そこだけだ。
当然、その入り口を守備できれば侵入を防ぐことが出来る。
だが、村人には戦うための武器も無ければ、技もない。
門を警備しても、今の状態では防衛できない。
また、風が止んだことにより、風車が回らない。
風車が回らなければ、電気を作れない。
イザーク村では生活自体に電気を使っていなかったので、その影響は無いように思われる。
しかし、電気はからくり人形に使われている。
バッテリーこそあるが、いずれは動かなくなってしまう。
結果、働き手が減ってしまうのだ。
その話し合いの中に、ジードはいない。
一晩過ぎて、村人は落ち着きを取り戻し、そして考えた。
その結果、(人間であるはずのジードに風を起こせるはずは無い)という結論を、各々がごく自然に出していた。
ジードがからくり童子ではないかという疑問は、ゼファーの心の内に閉まってあったからだ。
そのジードは、フィズリーや仲良し三人組と共に風車小屋の前にいた。
なにやら、秘密の特訓をしているようだ。

「ちがうよー。こうやって吹くんだよぉ」

体を前かがみにし、ロウソクの火でも消すかのように口を尖らせ、息を吹くフィズリー。

「こうだよ、こうだよ」

仲良し三人組も、フィズリーの真似をして息を吹いていた。
それを真似してジードも吹く。

ブウー

「ちがうって、音鳴らしてるだけだよ。もおぅ、こうやるの」

もう何度も同じようなことを繰り返しているが、思うように吹けないジード。
仲良し三人組は、からかい気味にジードに言う。

「だめねー」

「こんな事も出来ないの」

「風のお化けなのにさっ」

仲良し三人組は、ジードが風のお化けだと信じている。
口からものすごい風を出せると考えている。
だが、なかなか出来ないジードに、興味が薄れてきていた。
三人組の中で、花に興味があるアプルが、フィズリーに質問した。

「おねえちゃん、今日はお花の種は蒔かないの?」

そう、今日は種を蒔いていなかった。
明け方から、ジードの秘密の特訓をしていたのだ。
いつもなら、花の種を手の平いっぱいにして、イザークの村の中を駆け回っているはずのフィズリーに、疑問を感じていた。
当然、フィズリーに興味が移る。
ミイもツーシャもフィズリーの傍によってきて言葉を待つ。

「うーん、それがね、今日はお花の種が無いの」

「どうして?」

「うーん、わからない」

フィズリーが目を覚ましたとき、いつもなら枕元に沢山の花の種があるのだが、今日はどこを探しても見つからなかったのである。
ゼファーに聞こうにも、話し合いで不在だった。
4人の会話を聞きながら、覗き込むようにしてジードは言う。

「風って何?」

「えっー!!!、風を知らないの?」×3

みんなが知ってる風を、ジードは知らない。
小さい子供だって知ってるのに、ジードは知らない。
一瞬にして、仲良し三人組の興味は、ジードに戻った。
フィズリーと言えば、(今さら何を)という感じで呆れていた。

「ジードは風のお化けなのに、知らないの?」

三人組の中で一番陽気な羊飼いの娘、ミイが不思議そうに語りかける。

「ジードはお化けじゃないのよ」

フィズリーが諭すようにして言うが、仲良し三人組は一斉にジードを指差して、

「お化けだもん!!!」×3

元気よく言い切った。
そもそもジードは風を知らなかった。
ガラクタ山で発生させていたであろう風は、ジードの無意識の中で行っていたと思われる。
ここで、フィズリーの現象を思い出して欲しい。
植物図鑑を眺めていたフィズリーは、チューリップを見て、(この花が咲いたらいいなあ)と思うようになった。
そしてその夜、フィズリーの思いは青白い光の現象となって、種を生み出す事となった。
昨日はどうであろう。
昨日の夜の騒ぎで、フィズリーは植物図鑑を見ている場合ではなかった。
花のことを考えていなかったのである。
それゆえに、種を生み出すことが出来なかったのかもしれない。
つまり、強い思いが現象を引き起こすことになったのであろう。
ジードは風を知らない。
知らないがゆえに、風が起きないのである。

「風ってねえ、…………うーーんと、うーーんと」

フィズリーはかぜの説明をしようと懸命になる。
が、いくら考えても答えが見つからない。
そりゃあそうだろう、風は形のあるものではない。
説明するのは難しいし、イメージするのはもっと難しい。
それを見ていた仲良し三人組は

「風はこんなんだよ」

と言いながら、ジードの頬に向けて、息を吹きかけた。

「これのもっともっとすごおーーーいやつ」

すごおーーいを、腕を大きく広げて表現する三人組。
ジードは、頬をさわりながらイメージを試みた。

「わかったーぁ?」

仲良し三人組はジードに詰め寄る。

「こうかな」

口を尖らせ前かがみになって、息を吹く。

フー

上手くイメージできたのか、吹く息が風となった。
ところがそれは、三人組の顔が歪むぐらいの風圧であった。

「すごーーい」

「やっぱり、お化け!!」

三人組は大はしゃぎで喜ぶ。

「そう、そう、そんな感じ」

「それのもっと、もぉーっと、すごおーーいやつ」

再び、すごおーーいを、腕を大きく広げて表現する三人組。
ジードが風のお化けだと信じている仲良し三人組にとっては、今の風でも満足できない。
村中を駆け巡るほどの、大きな風をイメージしている。

「今度はふーって、おもいっきり吹いて」

服屋のジャンパの娘、ツーシャが提案する。

「わかった」

ジードはそう言うと、前かがみになって口を尖らせ、手を握り締め拳を作り、腰を落として体勢を取る。
そして、おもいっきり空気を吸い込んだ。
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