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からくり童子 第8話 少年の夢 第57回 白柴のヘンドリー

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第8話 少年の夢
第57回 白柴のヘンドリー



「大分使い込んどるようだのう」

ゼファーにとって空筒砲は、ライブジェムを知るための過程で、実験的に作製した装置である。
本来、攻撃を目的にしたものではない。
自分が作った装置が、この少年の役に立っていることを喜ぶべきか、攻撃用として用いられていることを恥じるべきか、複雑な気持ちでいた。

「ああ、こいつには随分お世話になったよ」

カタナの言葉を聞き、実際自分でもモンスターが襲ってきた際、空筒砲を武器として使用したことに嫌悪感を抱きながらも、必要なものであるという認識を持たざるを得なかった。

「何でこんな小さな石で、あんなすごい風が起こせるんだ」

当たり前の疑問である。
実際、少年はこの武器を使ってアルマジロンを空中に投げ出した上に、その体を四散させたのだから。

「理屈はわからん。だが、圧縮された空気をこいつに触れさせて打ち出せば、威力が何倍にも増加するんだ」

「すげえんだな、ライブジェムって」

「何だ、からくり屋の倅のくせに、ライブジェムを知らんのか」

「ああ、はじめて見たよ」

ライブジェムは、そうそう簡単に見つかるものではない。
実際ゼファーが手にしたライブジェムは、自身で見つけた1片と、少年の時、自宅の地下室で見つけた4片だけなのだから。

「ここに3つの筒のような物があるだろう」

トランペットで例えるなら、指で押さえる3本のピストンにあたる。

「ここに、オプションを装着出来るようにしてある」

「オプションって?」

「今はこのジェムしかないがの、本来は九種類あるそうだ」

「もし見つけることが出来れば、カプセルに入れて、ここに装着するんだ」

「どうなる」

「わからん」

「どんなジェムが存在するかはっきりせんし、装着したところで機能するかもわからんからな」

「はっきり言って、無駄なユニットかも知れん」

「かも知れんって」

「可能性の問題じゃな」

「いい加減だなあ」

「天才からくり技師たる、わしの第6感じゃ」

「この空筒砲を、ひとまずわしに預けろ、改良を施したい」

「改良?」

「充填時間が長いのがネックだからのう」

「連射できるほどの短縮は無理じゃろうが、せめて1分以内に充填できるように考えてみるわい」

「出来んのか、そんな事」

「この天才からくり技師であるわしに、不可能はなーい」

「本当かよ」

真面目な話しをしたと思ったら軽いノリで話すゼファーに、カタナは不安を感じつつも空筒砲を作ったと言うこの人物を、一応信用する事にした。

「ところでじゃ」

「カタナはそいつと話しをしたいと思ったことはあるか」

「そいつって、どいつ?」

「ジョグじゃよ」

「ジョグ…って、話せるわけないじゃないか」

「話せるんだよーーーん」

ゼファーは子供のように無邪気な笑顔である。
カタナは、からかわれてるんだろう、としか思わなかった。

「これじゃ」

カタナの前に出された、からくり装置。
それは、鶏のスザンヌさんと辰巳さんに使用した、言語変換機であった。

「こいつをジョグの首に巻きつけてみろ。面白いぞ」

カタナは信じていない。
からかわれついでと、装置をジョグの首に巻いてみた。

「ほら、何か話しかけてみい」

「何を」

「いつもの会話じゃ」

「どんな」

「わしが知るか」

「カタナ、お前アホなのか?」

「誰がアホじゃ」

声が聞こえた方向に顔を向けた。

「………」

「どょうぇーーーー!!!」

「ジョグが、ジョグがしゃべったーーーー」

カタナは顎を上下にガクガク、目を真ん丸むき出して、驚いてしまった。
ノーグの時と同じような光景である。
ゼファーは思い通りの展開に、心底笑っていた。

「あのなぁ、俺は毎回話してんだぜ。ただ言葉が違うからよ、通じねえだけで。だがな、お前の言葉はわかってたんだぜ。人間は不便だな。俺達の言葉が理解出来ねえんだからよ」

ぶっきらぼうで、おしゃべりな性格のジョグであった。

「ほんとにジョグが話してんのか。ゼファー、あんたが話してんじゃないのか」

カタナにしてみれば突然の出来事であり、今どういう状況にあるのか全く理解していなかった。

「だからよ、俺が話してんだって」

ジョグは自らが話してるんだぞとカタナに分からせる為に、後ろ足で立ち、前足をカタナの体に乗せ、顔を上げ声を出してみせた。
カタナはジョグを見下ろしながら、少しづつ状況を飲み込み始めた。
ゼファーは面白がっていたが、そろそろ教えてあげようかとカタナに顔を近づけ、

「つまりだなあ、ジョグは今まで通りの話し方をしてるんだ。ワンワンってな。この、からくり装置が人間の言葉に変換してるって訳だ。わかるか」

「わかるか」

ジョグはゼファーの話しの語尾を真似て言った。
ゼファーとジョグの顔を目の前にし、頷きながら、

「あ……あ…、わ、わかるよ」

カタナの勝手なイメージだが、ジョグはヒーローである自分の信頼厚い相棒であり、よき理解者である。
性格は温厚でありながら、いざ戦闘となると、その本能を果敢に発揮する。
また話し方と言えば、普段は無口だが、いざ発言すると重みがあり、深い言葉を発するダンディーな奴だと思っていた。
が、ガラスが砕け散るかのように、そのイメージは崩れていった。

「それからな、俺の名はヘンドリーって言うんだ。犬族の戦死、白柴のヘンドリーってな」

カタナは状況を理解しつつも、夢の世界へと旅立ってしまったのか、呆然と立ち尽くしている。

「お前はジョグだ」

「お前はジョグだ」

カタナの夢の世界では、ジョグと一緒に草原をスキップしながら歩いていた。
夢の中では、ジョグは擬人化されているようだ。

「それは、お前が勝手に付けた名前だろう。これからは、ヘンドリーって呼んでくれ」

夢の世界にはもう、白柴のヘンドリーの声は聞こえてこない。

「お前はジョグだ」

「これからもよろしくな、カタナ」

夢の中の草原で、カタナと白柴のヘンドリーは向かい合って、お辞儀をしている。

「よろしく、お願いいたします」

なぜか深々と頭を下げて、ご丁寧に挨拶するカタナであった。





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