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第15回 第2章 森の盗賊 その7

今度は少年に視点を当ててみよう。

グラモンは小さい体を利用して木々の間を抜け、倒れた木の下をくぐり、小走りで逃げていく。

それを追う少年は、枝を切り払い倒れた木を飛び越え走り続ける。

距離は徐々に近づいていき、もう少しで捕まえられそうである。

すると、グラモンが立ち止まって少年を睨みつけた。

少年は柳刃包丁を振りかざして飛び掛る。

が、グラモンはそれをヒラリとよけた。

宙に浮いた少年の目に見えたものは、崖。

キシ キシ キシ

小人が笑う。

少年の足元にはもう大地はなかった。

足をバタバタさせても意味がない。

そのまま崖を転がり落ちていく。

一部なだらかな場所になったものの、その先はさらに急激な坂であった。

少年の体は再び宙に浮いた。

そして、まっ逆さまに落ちていく。

空中ではどうしようもない。

(ゼファーに会えずに死んでしまうのか、あんなくそ猿にからかわれて死ぬのか)

過去の出来事、自分の夢、これからの事、いろんなことが頭に浮かんでは消えていく。

少年はもう覚悟を決めていた。



スポーーーーーーン。



何か袋状の物に落ちた。

その袋状の中で、跳ねたり落ちたり繰り返し、次第に2本の足でしっかり立つことが出来た。

クッションの様であったため体に異常はない。

中はうす暗い。

足元はふわりふわりとしておぼつかない。

真上から光がさすが徐々に閉じていく。

と共に、ねばねばした粘液状の液体が出てきた。

もう周りは真っ暗である。

何も見えない。

少年は、試しに柳刃包丁を突き刺した。

簡単に突き刺すことが出来た。

突き刺した隙間から光が差し込む。

少年は上から下に斬りおとす。

目の前に大きく光が差し込んだ。

大きく開いた切り口から頭を出すと、少々高いが地面が見える。

植物の体液と共に地面に落ちる少年。

「なんだ、これは」

少年は袋状の物体を見上げた。

食虫植物であった。

軽く人をも飲み込む大きさである。

少年の体にはまだ粘液状の液体がべっとり付いている。

手で振り落としながら崖を見上げた。

ケタケタケタ

グラモンは腹を抱えて大笑いしている。

「こんのー」

頭に来た少年は、柳刃包丁を背の鞘に収め、崖をよじ登り始めた。

驚いたグラモンは、

ガラ ガラ ガラ

上から石を落とし始めた。

「ぐわっ、やめろコラー」

石は少年の横を落ちていく。

1つの石が頭上に落ちてくる。

「やばい」

うっかり手を離してしまった。

また転がり落ちる少年。

なだらかな場所にてまた宙に浮き、まっ逆さまに落ちていく。


スポーーーーーーン。


そしてまた、食虫植物の中に落ちた。

少年の柳刃包丁が表面に現れると下へと切り裂かれていく。

また、植物の体液と共に這い出てきた。

ケタケタケタ ガハガハガハ

崖の上ではまたグラモンたちが腹を抱えて笑っている。

もう笑いが止まらないようだ。

「この野郎」

少年はさらに頭にくるも、ここであせってはまた同じようなことになる。

まず柳刃包丁を納め、息を整え、そして周りの状況を確認しようと見渡した。

すると、崖の上まで続くであろう細い通り道を見つけた。

獣道であろうか。

遠回りになるが、その細い道を駆け上がる少年。

どんどんどんどん駆け上がって行った。

それはそれは早い。

息を切らしながらも、とうとう崖の上まで登りつめた。

「この、くそ猿。たたっ斬っててやる」

と、背に抱えていた柳刃包丁を抜いた。

グラモンは仰天し、慌てふためいた。

荷物を放り出して、逃走を計る。

少年は荷物を拾い上げ、同時に空筒砲のスイッチを入れた

充填までの3分間、少年は追い続ける

木々の間を抜け、倒れた木の下をくぐり、枝を払いのけ、石を飛び越え。

グラモンがバラバラに逃げようとすると、

「クオラァー、バカ猿!!!!」

と大きな声で威嚇した。

その声で恐怖するグラモンは、また1つの集団にまとまって逃げていく。

空筒砲の充填が完了した。

ブシュ

逃げ惑うグラモンに向けて、走りながらで発射。

空筒砲から発射された空気弾が周りの空気をもからめとり、コケを巻き込んで一筋の緑の光となって、打ち出したときより数倍の大きさになった。

が、走りながら繰り出した空気弾はグラモンに届かず、

ズドーーーーーーン!!!!!!

地面に直撃した。

が、爆風だけでもたいした威力だ。

その爆風はグラモンを巻き込んだ。

「あれーーーーーれーーーーーーーーれえーーー」

ぐるぐると大の字で回転して飛んでいくグラモン。

その姿は遠くに飛ばされ、もはや見えない。

やっとこ事で退治することが出来た



木に隠れて難を逃れたグラモンが一匹。

ガタガタと震えている。

「お前にも一発喰らわしてやろうか」

いえいえいえ

みたいな感じで頭を振っている。

言葉は分かるはずもないが、雰囲気を把握したのだろう。

さらに、ひざを突き頭を下げその前で手を合わせている。

元が猿だけに森に入り込んだ人間の真似をしているのだろう。

猿真似である。

それはいいとして、少年は回収した服を身に着けた。






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Comment
Re: いらっしゃいませ、YUKAさん。
うぉー、ここまで読まれましたか。

後が、後があまりない。

続きを更新しなくては。
こんばんは^^
今日はここまで一気に読みました^^

やっと退治^^

で、ここで服を着てないことに気付きました。
そうだった。持ち去られていた。。。
――不覚。

応援して帰りますね^^b
Re: ぴゆう さん
ちょこまかチョコマカしてる小動物って、大型の動物より書くの大変でしたね。
なにやらかすか分からないって所。

眼鏡猿 グラスモンキー 略して グラモン
正式な英語名は知りません。直訳しただけです。
その方が、適当な名前を付けられるだろうと思って。
名前付けるの大変ですよね、恥かしいし。
No title
やっと服が着れたよねえ。
よくまあ裸ん坊で頑張ったもんだ。
ジョグもなんとか荷物を取り戻したようだし。
グラモンって妙な名前だね。
顔もおもろい。
憎めないのもなんか笑える。

ポチ拍手完了だよん。
Re: 珊瑚礁 さん おひさしぶり
回数が増えてきたもので、トップを目次化しようかと考えてます。

ちょっと待っててくださいね。

テクノロジー、さあどうかな、出てくるかな、

どうしようかな、どうなっちゃうのかな~。

私も楽しみです。

と、いうことで。

…失礼します……。
トップページが変わってる
なんか機械的になってますね。これから先の展開で前時代の遺物みたいなテクノロジーとかが出るのかな?とか勝手に想像して楽しみにしています。これからも頑張って書きまっくってください。
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